ゼレンスキー「お友達内閣」で権力闘争勃発
ゼレンスキー政権では、能力や実績だけでなく、大統領との距離や側近同士の関係が人事を左右してきた。ミハイロ・フェドロフ国防相とオレクサンドル・シルスキー軍総司令官の交代は、戦後の政治秩序を誰が主導するかを巡る争いを映し出した。
全面侵攻後、非常時の意思決定を支えた側近政治は、長期戦の下で別の顔を見せ始めている。
軍改革、外交、復興、そして将来の選挙。人事では「誰が何をできるか」だけでなく、「誰が大統領の側に立ち、誰が独自の力を持つのか」が問われるようになった。そして、戦時体制の陰で進んできた権力集中の実態に市民が抗議の声を上げ始めた。
人事の連鎖は、7月の政権再編から本格化した。ユリア・スビリデンコ首相の退任に伴う内閣改造に続き、ゼレンスキー氏は16日、フェドロフ氏を交代させた。国防相就任からわずか半年での出来事だった。
長距離攻撃の能力整備も進めた「改革派の象徴」を交代
フェドロフ氏は、無人機や人工知能(AI)を戦略の中核に据える改革派の象徴だった。
ウクライナ企業による多様な無人機の開発と導入を後押しし、前線での偵察や攻撃だけでなく、ロシア領内のエネルギー施設や兵站拠点を狙う長距離攻撃の能力整備も進めた。
改革は装備にとどまらなかった。兵員不足への対応や待遇改善に加え、軍需調達への競争入札導入や省内の管理体制刷新を試みた。本人は解任後、こうした調達改革が省内外の強い抵抗を招き、更迭の背景になったとの認識を示した。
無人機、電子戦、衛星通信、精密打撃を組み合わせる現代戦では、装備を増やすだけでは足りない。旅団や軍団の指揮統制、訓練、人事、調達を一体で見直す必要がある。だが、改革は戦場への対応力を高める一方で、既存組織の権限や予算、人事配分を根底から変える。
フェドロフ氏が進めた改革の速度と手法は、従来の指揮系統や利害と衝突した。













