「金を出せば買える代物ではない」日本でも超富裕層向けが拡大
上場企業を経営する知り合いの起業家曰く、「そもそも金を出せば買えるという代物ではなく、購入するためには資産規模だけでなく人脈や社会的地位なども必要で、スタートラインに立つ時点でかなり絞られているのではないか」ということだった。
ちなみにこの起業家は数十億円の資産を保有するが、「自分のレベルでは全然無理だ」と笑う。
東京のマンションが金融商品としての性格を持つようになってきたことはこれまでもたびたび紹介してきたが、森ビルが手掛ける物件のような供給数が限られている超高級レジデンスは希少性が高い究極の投資商品といえるだろう。
その希少性から、一流のアーティストによる芸術作品に例えられることもある。
ニューヨークやロンドン、シンガポールといった都市がそうであるように、東京でも、こうした超富裕層向けの不動産マーケットが急速な勢いで立ち上がっている。
サヴィルズは「日本には超富裕層が多数居住しており、その人数と総資産額は近年増加している。資産を補完するための安全な国として日本を認識する海外の富裕層の流入によって、これらの層は今後いっそう拡大する可能性がある」と指摘している。
特定の顧客のみに販売する「アンダー販売」
野村総合研究所が25年に公表したリポートによると、金融資産の合計額から負債を差し引いた「純金融資産保有額」が5億円を超える「超富裕層」は23年の時点で11万8000世帯と、10年前の2.2倍に増加。
この伸び率は、1億円以上5億円未満の「富裕層」の1.6倍や5000万円以上1億円未満の「準富裕層」の1.3倍を大きく上回る。
野村総研は「株価の急騰によりリスク性資産の資産価値が大きく増加したことや、円安の進行により外貨建て資産の実質的価値が増加した」と分析する。
富裕層が競うように購入する物件とは、どうやって販売されるのだろうか。多くの観光客で賑わう東京・原宿。表参道から1本入った閑静な通りを少し歩くと、ガラスと木調のパネルを組み合わせた特徴的な造形の建物が視界に飛び込んでくる。野村不動産が開発し、2024年に竣工した「プラウド神宮前」だ。
超一等地の立地に加え、日本を代表する建築家である隈研吾がデザインを監修したという力の入れようで、分譲マンション「プラウド」シリーズのフラッグシップ物件としての風格を備えるが、同物件は通常の物件のように登録や抽選といった一般的な販売手法は用いず、森ビルのアマンレジデンスのように特定の顧客のみに販売する、業界で「アンダー販売」や「インナー販売」、「クローズド販売」と呼ばれる販売手法をとった。













