RCサクセション『COVERS』

バリー・マクガイアが発表した「明日なき世界(Eve of Destruction)」は、1965年に全米チャートの1位になった。曲を書いたのはP.F.スローンという10代の若者で、早くから卓越したソングライティングのセンスを買われていた。

当時、ボブ・ディランの『ライク・ア・ローリング・ストーン』がプロテスト・ソングとして評判になっていたことから、スローンにそうした傾向の曲を書くように発注したのは、プロデューサーのルー・アドラーである。

19歳になったスローンが「明日なき世界」を書いた1965年は、アメリカが北ベトナムへ空爆を開始した年だった。スローンはベトナム戦争の泥沼にはまっていた当時のアメリカにおける、国内と国外の災いを3分半ほどの曲に詰め込んで、核戦争が起こった後の恐怖を描いた。

歌詞の内容が強烈すぎるという理由で、一部の地域では保守的な局が放送禁止にした。しかし、その話題がメディアや人々の関心を引いて、大ヒットにつながったともいわれている。

これを60年代末に日本語でカヴァーしたのが、メッセージ性のあるフォーク・ソングを広めた先駆者の高石ともや。以前からピート・シーガーやボブ・ディランの歌を取り上げて、日本語に訳して歌っていた。

高石の訳詞はオリジナルの痛烈なメッセージを、可能な限り日本語の口語体で伝えようとするものだった。しかし、1975年にベトナム戦争が終わって時代が移り変わるとともに、核戦争の恐怖を描いたこの歌は少しずつ忘れられていく。

それから約20年後。

忌野清志郎がこの歌をカヴァーしたことで、あらためて多くの人が核戦争と核の恐怖について、関心を向けることになった。

『ラプソディー ネイキッド・デラックスエディション(Live At 久保講堂 / 1980 / Remastered 2021)』19曲(1時間51分 ユニバーサルミュージック)2021年の6月30日に忌野清志郎のデビュー50周年を祝って発売された1枚
『ラプソディー ネイキッド・デラックスエディション(Live At 久保講堂 / 1980 / Remastered 2021)』19曲(1時間51分 ユニバーサルミュージック)2021年の6月30日に忌野清志郎のデビュー50周年を祝って発売された1枚
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RCサクセションの『COVERS』は、反核をテーマにした内容の洋楽のカヴァー・アルバムで、「明日なき世界」が忌野清志郎による歌詞で1曲目に収められていた。