「ぶつかりおじさんにも哀愁がある」
鹿目の漫画に登場するキャラクターたちは、たとえ理不尽な言動をする人物であっても、どこか憎めない「哀愁」をまとっている。
「もともと私は妖怪が好きで。だから、ぶつかりおじさんとかも“現代の妖怪”みたいな感覚で見てます(笑)。あと、漫画の中の登場人物を完全な悪にはしたくないって気持ちがすごくあります。ぶつかりおじさんにも、そうなってしまうまでの背景とか、悲しい過去がいろいろあると思うんですよね。
善と悪を判断するのってすごく難しいじゃないですか。ルールや法律はあるけれど、背景を知った途端、一気に立場が逆転することだってある。そんな中で『自分にとっての正義って何だろう?』と考えたとき、正解や正義だと思うことを『悩みながら考え続けること』自体が唯一の正義かなって……」
こうした視点の背景には、彼女自身の生い立ちが大きく関わっている。鹿目は小学生の時にアスペルガー症候群の診断を受けたことを、アイドル時代に公表している。
「昔から人をすぐ怒らせてしまう子でした。空気が読めなかったり、周りのみんなが察せられることを一人だけ察せなくて、全然違うことしちゃったりして。小学生のときにアスペルガー症候群という診断を受けてからずっと、『社会とどう付き合っていくか』っていうのを模索しながら生きてきました」
でんぱ組.incでのグループ活動を終え、一人で作品と向き合う時間が増えた今、漫画を描く作業そのものが他者の心情や背景を想像できるプロセスとなり、結果として自身の過去や他者との距離感を客観視できるようになっていったという。
「昔の私は本当に自分の世界にしか興味がなくて、ほとんど自分のために生きてきたんです。でも漫画を描くってなると、登場人物の心境だったり、いろいろと想像しなきゃいけないことが多いじゃないですか。『なんで今この人はこう言ってるんだろう?』って考え始めたら、今までの自分の言動とか、嫌われる原因になってたこととかがどんどん見えてきちゃって……思わず『ツラい!』って落ち込むこともあります」













