涙の歴史を塗り変えられるか

「みんなチームのためにと考えてくれるのはありがたいですが、自分がこのチームでポジションを取ってやろうというような、ギラギラ感は忘れないで、と常に話しています」

ブラジル戦で必要なのは、まさにそのギラギラ感だ。

2006年、日本はブラジルに挑み、力の差を突きつけられた。そこから20年、何度も悔しさを味わってきた。2010年はPK戦で涙をのんだ。2014年はグループステージで敗退。2018年はベルギーに2点差をひっくり返された。2022年はクロアチアに再びPK戦で敗れた。

だが、そのたびに日本サッカーは何かを持ち帰ってきた。守備の粘り、試合運び、交代策、海外で戦う選手の増加、育成の広がり、クラブと代表の接続。敗北は、次の世代の教材になってきた。

だからこそ、ブラジル戦は「奇跡を待つ試合」ではない。

20年前は、勝つために何が足りないのかを教えられた試合だった。今回は、足りなかったものをどこまで埋められたのかを示す試合になる。

森保監督は、2022年のスペイン戦前にこう語っていた。

「W杯優勝国と真剣勝負で戦えることを喜びに感じて戦いたい」

その言葉は、ブラジル戦にもそのまま重なる。

王国に挑む。だが、挑戦者として胸を借りるだけではない。勝つために、ここまで来た。日本サッカーが積み上げてきた33年、そしてW杯に挑み続けた28年の歴史を背負って、森保ジャパンはラウンド32のピッチに立つ。

2006年ドイツで流した涙は、20年という歳月を経たいまも、まだ完全には乾いていない。あの日に突きつけられたブラジルとの差は、どれくらい埋まったのだろうか。

その涙の歴史を塗り変えられるのは、いまの日本代表だけだ。

かつて選手として日の丸を背負った顔ぶれがズラリと並ぶ監督・コーチ陣(写真/JMPA)
かつて選手として日の丸を背負った顔ぶれがズラリと並ぶ監督・コーチ陣(写真/JMPA)
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文/集英社オンライン編集部