Jリーグ開幕から33年の大一番

ドーハの悲劇を知る世代、初出場を切り開いた世代、自国開催で世界を知った世代、ベスト8の壁に跳ね返されてきた世代。そのすべてが、いまの日本代表につながっている。森保監督は、北中米W杯のメンバー発表会見でこう語っていた。

「Jリーグで経験してきたからこそ、世界に挑めるという力をつけさせてもらいました」

1993年に開幕したJリーグは、2026年で33年を迎えた。さらにその後に掲げられた「百年構想」は、地域にクラブを根づかせ、育成を広げ、日本サッカーの土台をつくるための理念だった。まだ100年の約3分の1に過ぎない。

それでも、欧州のトップリーグで主力を張る選手が当たり前のように代表に集まり、W杯優勝経験国に対して「勝ちにいく」と言えるところまで、日本は歩いてきた。

今回の相手は、ブラジルである。

5度のW杯優勝を誇る王国。個の才能、勝負どころの迫力、ゴール前での冷酷さは、いまなお世界屈指だ。グループステージを首位で突破し、ヴィニシウス・ジュニオールら攻撃陣は高い決定力を見せている。日本にとっては、わずかなミスが即失点につながる相手である。

しかも、森保ジャパンは万全ではない。負傷者もいる。コンディションに不安を抱える選手もいる。大会を戦いながら、ベストの形を探らなければならない難しさもある。

だが、森保監督はこういう状況でも、言い訳をしない指揮官だ。スウェーデン戦を前にした会見では、こう話している。

「勝ちたいと思いますし、1位通過したいと思っているので、今のベストメンバーを組んで戦いに挑むことで考えています」

「今のベストメンバー」。この言葉には、森保監督らしい現実主義がにじむ。理想のメンバー、万全のメンバーを数え上げればきりがない。だが、W杯は待ってくれない。その時に出られる選手、その時に戦える選手で、最善を尽くすしかない。

スウェーデン戦で5大会連続のW杯試合出場を果たした長友佑都(写真/JMPA)
スウェーデン戦で5大会連続のW杯試合出場を果たした長友佑都(写真/JMPA)

そして今の日本には、その「誰が出ても戦える」土台がある。森保監督は今大会中、チーム作りについてもこう語っている。

「誰が出ても勝つということと、誰と組んでも機能することを選手達に言い続けてチーム作りをやってきました」

かつての日本代表は、特定の選手のひらめきに頼る場面が少なくなかった。中村俊輔の左足、中田英寿の存在感、個の才能がチームを引き上げていた時代があった。しかし、いまの日本は違う。個の力を持つ選手が増え、その個をチームの中で機能させる仕組みもある。

それは森保監督の言葉にも表れている。

「チームの戦術としてはもちろん役割を選手達に求めますが、選手の個性はできるだけ消さないようにと思っています」

守るだけでは、ブラジルには勝てない。耐えるだけでも、いつかは破られる。必要なのは、謙虚さと大胆さの両立だ。相手をリスペクトしながらも、引きすぎない。奪ったボールを大事にしながらも、怖がらずに前へ出る。

堂安律、上田綺世、中村敬斗、鎌田大地、前田大然、冨安健洋、板倉滉、鈴木彩艶ら、各ポジションで世界基準の経験を持つ選手たちが、自分たちの武器をどれだけ出し切れるか。

森保監督は、選手たちにこうも求めている。