中傷動画問題、野党が追及する限り政権は安泰
ビジョンが見えない一方で、選挙期間中の「中傷動画問題」などの些末なスキャンダルが国会で取り沙汰されています。動画への関与があったのかなかったのか、面識とは何なのかといった議論が延々と続いていますが、正直に申し上げて、政策とは無関係な些末な話だと思います。
私は、野党がああいった些末な問題ばかりを追及している限り、皮肉なことに高市政権は安泰だと考えています。「野党はこんな重箱の隅をつつくようなことしかできないのか」と国民が呆れてしまうからです。
決定的な証拠が出ない限り、こうしたモラル違反程度のスキャンダルで政権が揺らぐことはありません。
本来、野党が厳しく追及すべきは、政権の「経済政策のビジョン」の欠如です。例えば、ガソリン代を170円台に抑えるための多額の補助金支出です。こんな政策を一体いつまで続けるつもりなのでしょうか。
アメリカとイランの間で、戦闘終結に向けた「合意が成立」との報道がありましたが、とはいえ中東情勢の混迷は、そう簡単に終わるものではありません。
世界中がエネルギー危機に直面し「省エネ」へと大きく舵を切っている時に、日本だけが補助金で価格を偽装し、国民に「今まで通り使って大丈夫ですよ」というメッセージを出し続けている。電力代の補助にしても同じです。
「日本の民主主義の成熟度」に対する深刻な懸念
国民に悪い印象を与えたくない、今の高い支持率を下げたくないという自己保身のために、市場の価格シグナルを歪め、将来世代に巨額のツケを回している。こうした場当たり的な政策を続けていては、日本経済の構造的な転換など不可能です。
こうしたポピュリズム的な政策がまかり通ってしまう背景には、世論のあり方の変化、ひいては「日本の民主主義の成熟度」に対する深刻な懸念があります。
今の政治は、まるでエンターテインメントやサブカルチャーのようになってしまっています。誰かを熱狂的に応援するかと思えば、少しでも気に入らないことがあるとSNSで徹底的に叩き落とす。
行動経済学者のダニエル・カーネマンが提唱した「システム1(直感的で感情的な思考)」だけで政治が動いているような状態です。
昔の日本には、もっと「健全な保守」と呼べる層が確実に存在していました。
高齢となった彼らは、例えば年金や医療の問題でも、「消費税をゼロにしてくれたら個人的には嬉しいけれど、国の将来を考えれば税金は誰かが負担しなければならない」「お年寄りも1割負担ではなく、3割負担を受け入れるべきだ」と、痛みを伴う現実をきちんと受け止め、国を支えようとする矜持を持っているでしょう。












