亡くなった母親のおっぱいを吸う赤ん坊
赤ん坊の姿が脳裏に焼きついて離れない現場もあった。
検死へ向かった。部屋に入ると、私は生ツバを飲み込んだ。
それは地獄絵だった。
母親が死んでいた。そこまではわかる。
亡くなった母親の胸がはだけていた。
そして、その胸のおっぱいを赤ん坊が吸っていたのだ。
赤ん坊と若い母親の二人暮らしだったが、日ごろから母親が病弱で、ある日、突然亡くなってしまったのだ。
しかし、赤ん坊のほうは、母親が亡くなっていることを知る由もない。ただお腹を空かせている。それで、生きるために母親の胸元をはだけて必死におっぱいを吸っていたのだ。
母親は、まだ死んだばかりだったからそんなに冷たくはなっていなかった。死亡推定時刻を逆算すると、死後三、四時間ほどだった。
母親が亡くなっていることもわからずに、自分の命のために懸命におっぱいにしゃぶりつく赤ん坊の姿がそこにあったのだ。













