最も大きな影響を受けるのは誰か

路上の実態に合わない左側通行を強要されれば、大型トラックが背後から迫る恐怖に耐えながら無理な走行を続けることになる。

最も大きな影響を受けるのは誰かを考えてみたい。日々の買い出しや子どもの送迎に追われ、生活の足として自転車を手放せない母親たちである。あるいは、免許を返納して自転車に乗り換えた地方の高齢者たちである。

地方都市へ行けば、自動車で10分の距離にある店舗へ、健康維持も兼ねて20分かけて自転車で通う高齢者の姿は珍しくない。自転車は、免許を持たない人々にとって欠かすことのできない生活の足である。

朝早くからお弁当を作り、子どもを保育園へ送り届ける。休む間もなく職場へ向かい、夕方には慌ただしく迎えに行き、重い買い物袋を提げて帰宅する。雨の日も風の日も休むことなく、過酷な日常の中で、自転車はまさに手足の延長として機能している。

前後のカゴに荷物を満載し、時には子どもを乗せてペダルを漕ぐ。名もなき人々の懸命な日常的な営みを、数字と法律の枠組みだけで切り取り、犯罪者予備軍のように扱うのが青切符制度のありのままの形である。

現状の厳罰化は、自転車を手足のように使う庶民を狙い撃ちにする、理不尽ないじめに近い。自転車に乗る母親たちは常に警察の監視に怯え、周囲からの冷ややかな視線に晒されることになる。

社会全体が、弱い立場の人々に対して不寛容になっている証拠と言えるだろう。

自転車事故の75%は、自転車が被害者側

客観的なデータを見てほしい。令和6年(2024年)中の自転車関連事故総件数は6万7531件であり、全交通事故に占める割合は約23.3パーセントである。

注目すべき事実は、自転車側が加害者側となる事故は約1万6776件にすぎず、構成率にして24.8パーセントにとどまることである。裏を返せば、残る約75パーセントの事故において、自転車側は被害者側なのである。

自転車事故の75%は、自転車が被害者側
自転車事故の75%は、自転車が被害者側

特に全体の8割を占める対自動車の事故においては、圧倒的に自転車側が被害に遭っている。事故の大部分で被害者となる立場の人々に対して、現状の仕組みを当てはめるのは残酷である。

さらに厳しい事実として、113種類もの細かな違反項目を設定し、反則金を取り立てる仕組みを作る前に、行政がやるべき仕事があるはずだ。