仲が良くても書き方は全くちがう
須賀 真堂さんとは、同じ94年デビューで、プライベートでも仲良くしてもらってます。年賀状も今も続いてるし(笑)。執筆スタイルはちがいますけど。
真堂 そう、全然ちがいますよね(笑)。小説を書く際、私の場合はキャラ先というか、キャラの動きで物語を作っていく。ところが須賀さんの作品は西洋建築の石積のように実直に積み上げられた世界観の基礎がしっかりしていて、創作スタイルもそうなんだろうなと……。かっこいいなってリスペクトしています。
須賀 ありがとうございます、なんか照れる(笑)。執筆のペースも真逆ですよね。私は締め切り間際になってからが勝負みたいなところがあって。でも真堂さんは締め切りの1か月前には必ず上がっていますよね。
真堂 体力に自信がないから早く上げないとまずいんです。締め切りが迫ると、すみませんムリですってなりそうで……。須賀さんは、さすがサバイバル系を得意としているだけあって、匍匐前進で進むみたいな感じですか?
須賀 ちがう、ちがう。私、締め切り間際に追い詰められて1日100枚書いたことがあったんですよ。でも、体ボロボロになっちゃって辛い。だから私もせめて1週間前には上げるように頑張ろうと思ってはいるけど、1回もできたことない。締め切りが近づくと何か謎の回路が開くというか、追い詰められると何か降りてくるみたいなところがあって。それをちょっと待っているところもあって。でも若い頃はよくできたんですけど、最近はそれより前に眠くなっちゃう(笑)。やっぱ真堂形式にしないといけないなって思っています。
回路を開く音楽と喫茶
真堂 謎の回路が開く話、興味ありますね。
須賀 私、仕事中は音楽とか流さず無音なんです。なんだけど、ライブでクラシックを聴いて心に刺さったりするとパーンって自分の中の感覚世界が1段ステージが上がりましたみたいになるんです。ゾーンに入るっていうか。今回のエッセイにも書いたけど、コンサートに行ってうまくゾーンに入ったら、体を揺らさないように帰ってきて、お風呂も入らずパーッと仕事しちゃう。あれは音楽の振動なのかなとか、いろいろ考えたんですけど。真堂さんは、自分の中のカンフル剤的なもの、あります?
真堂 私は喫茶ですかね。中国茶を飲んで、体内を清浄にしてから机に向かう。日常から離れて物語に向かうために、そういうルーティンはありますね。
須賀 中国茶ってすごく納得します。若い頃とはちがって、今は家庭のこととか日常からの切り替えが大事ですからね。でも、中国茶って胃荒れたりしません?
真堂 大丈夫です。白湯も飲みますし。お茶を入れると3煎目ぐらいで味が変わっちゃうので、ずっと〝出涸らし〟飲みながら机に向かっていますね。
須賀 以前、中国茶を本格的なお作法で振る舞っていただいたじゃないですか。すごく美味しかった。
真堂 須賀さんは、クラシックはやっぱりワーグナーを聴くのですか?
須賀 最近はワーグナーはちょっと疲れるかな……。今はバッハとかモーツァルトあたりが好きになってきました。このシーンにはこの作曲家の曲がいいかな、とかあって。
真堂 仕事中は無音って仰っていたけど、その曲が脳内で流れている?
須賀 あ、そうかも……。頭の中でBGMっぽく流れて、作中のキャラクターが頑張っているみたいな。
真堂 他の作家さんとかはどんなスタイルで書いてらっしゃるんでしょうね。
須賀 どうなんでしょうね。コバルト時代は作家さん同士、プライベートでよく集まっていましたよね。
真堂 ですよね。あまり仕事の話はしなかったけれど、連帯意識はありましたね。














