彼の母親は諦めなかった

こうなると、かなりポジティブマインドを持つ母親でも、子供の人生を諦めるかもしれません。

それでも、彼の母親は諦めるどころか、「あら、顔を水につけるのが嫌なら、背泳ぎをすればいいじゃない」と言ったのです!

写真はイメージです 写真/Shutterstock
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背泳ぎの楽しさに目覚めたフェルプスは、来る日も来る日もそればかりを練習し、気が付くと国内に敵がいなくなりました。

勝利する喜びを味わったフェルプスにとって、もう水が顔につくとかつかないとかはどうでもよくなり、他の種目でも頭角を現しました。

最終的にバタフライの世界記録を含め、オリンピック4大会連続金メダル獲得という偉業を成し遂げたのです。

よくこのマイケル・フェルプスの記事が紹介される時に「ADHDという障がいを乗り越えて」という枕詞が付きます。

ですが、私はその紹介の仕方は適切ではないと思っています。

なぜなら、ADHDは障がいではなく能力だからです。

長年の犬猿の仲である薩摩と長州に飛んでいき、薩長同盟を結び、明治維新の礎を築いた坂本龍馬もADHDだったと言われています。

コンピューターに興味を持ち、熱中し、世界の常識を変えるiPhoneを生み出したスティーブ・ジョブズもADHDです。

医学で言う「異常」とは、あくまでも基準値を決めて、そこから外れた部分のことです。

例えば規格外の体重で生まれた子供を「巨大児」と呼ぶなど、基準体重の範囲内であれば「正常」、外れたら「異常」として考える学問なのです。