「体内で燃やされるか、蓄えられるか」を決めるのはホルモン

脂質はカロリーが高く、「ダイエットの敵」と見なされがちです。大量摂取に抵抗を感じる人もいるでしょう。しかし、脂を摂って痩せる高脂質食を僕が推すのには、ちゃんとした理由があります。

ダイエットの指標として「カロリー」を重視する人は多いですが、これは本質的には意味を持ちません。

カロリーはボンブ熱量計で燃やした食物と排泄物の差を熱量として仮定した数値。体内での代謝とは別物です。栄養素ごとに代謝や消化吸収率は異なるため、単純な数字としてのカロリーは参考にならないのです。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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カロリー制限がダイエットで失敗する本質的な理由は、人の体が「カロリー」ではなく「代謝とホルモン」で動いているから。カロリーは単なる熱量の指標であり、「体内で燃やされるか、蓄えられるか」を決めるのはホルモン。

インスリンをはじめとするホルモンが脂肪を使うか、貯めるかを支配しているのです。

カロリーだけを減らすと、体は「飢餓だ!」と判断し、代謝を落としてエネルギー消費を節約。結果、痩せにくくリバウンドしやすい状態になります。

代謝やホルモンの仕組みを理解せず、分かりやすい数字である「カロリー」だけを指標にしてしまうこと自体が、ダイエットを失敗に導く原因と考えられます。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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インスリンは現代では「血糖値を下げるホルモン」として知られていますが、その役割はもっと広いものでした。

農耕文明以前、人類の食生活は肉や魚を中心とした高タンパク・高脂質であり、糖質は季節的に限られていました。この環境ではインスリンは血糖処理よりも、アミノ酸や脂肪酸を効率的に細胞へ取り込むために機能していたと考えられます。

実際、猫やイルカなどの食肉目は糖をほとんど摂取しないにもかかわらずインスリンを分泌し、タンパク質代謝や脂質代謝に不可欠な役割を果たしています。

人類も旧石器時代にはほぼカーニボア(肉食)的な食生活を送っていたため、インスリンは筋肉合成やエネルギー代謝を支える「栄養取り込みホルモン」として働いていたと推測されます。

つまり、インスリンの存在理由は必ずしも血糖値を下げるためだけではなく、進化的には細胞に栄養を届ける普遍的な仕組みとして備わった可能性が高いと考えます。

文/金森重樹

『なぜヒトは脂質で痩せるのか』(扶桑社新書)
金森重樹
『なぜヒトは脂質で痩せるのか』(扶桑社新書)
2026/2/28
1,100 円(税込)
192ページ
ISBN: 978-4594102210

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