「西成は人が自由になれるコミュニティができあがっている」

━━映画『蒸発』は海外で、とくに香港ではソールドアウトになるほど人気になり、ドイツでは上映館が広がるなど反響が大きかったとお聞きしています。話題を呼んだ理由をどのように分析されていますか?

 自分たちにはないものを観たいという、好奇心から観に来たひとも多いでしょう。と同時に「蒸発」という、誰しも一度人生をリセットしたいという気持ちがある。国は違っても普遍性のあるテーマだからではないでしょうか。

©2024 OSSA FILM, BR, MORI FILM
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━━空き缶を集めて生活している場面など丁寧に描かれていますが、ハートマン監督から見た西成の印象を聞かせてください。

ハートマン 貧しい人たちが住む場所ではありますが、開放感がある。女装の人もいて、LGBTQ(性的マイノリティ)文化も発達している。人が自由になれるコミュニティができあがっていると感じました。

森 シルクロードを旅したときに中国の内陸部で、ビルの谷間に残るこのような場所を目にしましたが、アンドレアスが言うように西成は人が人として生きていけるというか、カラオケスナックのお店もたくさんあり、オッチャンが朝からビール飲んで歌っているのを見たら、自分が蒸発するならここに来ようか。そんな気持ちになる場所ですよね。

©2024 OSSA FILM, BR, MORI FILM
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