「サウンドアクセシビリティ」が切り拓いた格ゲーの世界

北村さんが格闘ゲームの世界にのめり込む転機となったのは、筋ジストロフィー(※)を患うeスポーツ選手・畠山駿也氏との出会いだった。彼からカプコンの人気格闘ゲーム『ストリートファイター』を教わる中で、ゲーム側の進化も北村さんを後押しする。(※全身の筋力が徐々に低下する遺伝性の難病)

筋ジストロフィーを患うeスポーツ選手・畠山駿也氏(写真/佐藤靖彦)
筋ジストロフィーを患うeスポーツ選手・畠山駿也氏(写真/佐藤靖彦)

eスポーツの種目として国際的にも盛り上がりを見せている『ストリートファイター6』には、「サウンドアクセシビリティ」という画期的な機能が搭載されている。相手との距離、攻撃のヒット(上・中・下段)、体力状況などがすべて異なる音で表現されるというものだ。

「相手の距離は専用の音の高さで分かります。音が早く高く鳴っていれば距離が近い、ゆっくり低くなっていれば距離が遠いという感じです。それに加えて、キャラクターの位置は音のステレオ効果でわかります。なぜなら、キャラクターが左端にいれば左端から声がして、右端にいれば右端から声がするからです。

それ以外にも、技をガードしたのか、当たったのか、あるいは空振りなのか。倒れた時に受け身を取ったかどうかも含めて、すべて音で聞き分けています。

『ずっとガードされている音がしているから、ここは投げ技を使おう』といった判断も、音を頼りにしています。始めてみたら、音だけで戦況がかなり把握できて、自分でも驚きました」

『ストリートファイター6』をプレイする北村直也さん(19番の背番号、写真/佐藤靖彦)
『ストリートファイター6』をプレイする北村直也さん(19番の背番号、写真/佐藤靖彦)

北村さんは「見ることがないからこそ、聴くことに徹することができる」と語る。しかし、その集中力を要するプレイは凄まじく体力を消耗させるようで、苦笑しながらこう話した。

「音で取れる情報が多いゲームをプレイするのは楽しいのですが、最初はめちゃくちゃ疲労感を感じます。最近やたら疲れやすいと思って振り返ったら、新しいゲームを初めたから無意識のうちに相当な負荷をかけてたんだなと」