「経理担当が消えた」社内で起きていた異変

板橋時代に得た助成金で金回りがよくなった日本橋の会社事務所に久松署の捜査員が踏み込んだのは2月10日午前のことだ。

「刑事さんが6人くらいやってきて『作業をやめてくれ』と言うんです。社長(坂川容疑者)も刑事さんと一緒に来ました。その日以来彼女の携帯は電源が切れたままで連絡が取れませんでした」(A氏)

坂川馨容疑者
坂川馨容疑者

A氏によると、会社では板橋から事務所が移転して半年ほどした時期に坂川容疑者が「すべてを任せていた」という経理担当者が姿を見せなくなった。A氏は「彼がすべてを企んだんじゃないかと怪しく思っている」という。

いっぽう毎日新聞は今回の事件は「取り分をもらえなかったJCIT関係者が23年5月に警視庁に相談して発覚した」と報じている。

坂川容疑者夫妻が運営していた「JCIT株式会社」の外観(撮影/集英社オンライン)
坂川容疑者夫妻が運営していた「JCIT株式会社」の外観(撮影/集英社オンライン)
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厚生労働省によると、昨年末までに新型コロナ禍に絡む雇用調整助成金では不正受給の確認などによる支給決定取り消しが4557件行なわれ、支給取消総額は1139億円に上る。だが回収できたのは885億円だけだ。

社員でもない人物への支給申請がなぜ通ったのかについて東京労働局は、

「コロナ禍で多数の申請があり、支給を急ぐ必要もあって通常とは違う状況でした。マンパワーに限りがあり確認に漏れがあった可能性は否定できないです」

と説明している。

パンデミックの非常時に救済対象を広げたことに目をつけたタチの悪い詐欺が事実なら、刑事罰の他に2割の違約金や延滞金を含めた不正受給額全額の返還が迫って来る。血税から出たこのカネをきちんと取り戻せるのだろうか。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班