日本型トランプ選挙
さて、ここまで読んでおわかりの通り、2024年から25年にかけて話題となった選挙をめぐるさまざまな事柄が、豊岡市では先駆的な事例としてすでに5年前に起きていたわけだ。
しかし元をたどれば2016年あるいは20年のトランプ氏の米大統領選挙での戦略もまったく同じ手法だったのだから、豊岡市の例は日本でのその一形態が比較的早くに示されたものだと言ってもいい。
わかりやすい対立構造、豊岡市ならば「演劇か医療費無償化か」、奈義町ならば「子育て支援か、その他の福祉政策か」といった具合だ。
ただこの豊岡市長選挙について、我がことながら私が興味深く思ったのは、これが米大統領選挙における「移民排斥」や多様性をめぐる議論のような、社会的な対立構造ではなかった点だ。
やはりここでも、きわめて微温的に、「演劇のまちなんかいらない」と攻撃の矛先が「演劇」に向かった。おそらく当事者さえも単純な選挙戦略として演劇を攻撃目標に定めたのだろう。
そしてそのためのフェイクニュースも、ことの重大さがあまり理解されないまま流された。しかしこれは当然、潜在的には移住者への排除にもつながっている。「日本人ファースト」とも構造は同じだ。とても日本的だが、一方でファシズムの到来は、特に日本では、このようなところから忍び寄ってくるとも指摘できるだろう。
ちなみに、現実には「演劇のまちづくり」が全否定されたわけでもなかった。のちに公表された神戸新聞の出口調査(1494名回答)では、演劇のまちづくりを「評価する」は32.6%で、「評価しない」の29.6%を上回った。
私たちは、この時点ですでに3割以上の人が、始まったばかりのこの施策を評価してくれているのかと逆に驚いた。これは芸術文化観光専門職大学開学から、たった1ヶ月の時点での調査だ。













