『持たざる者』や『マジョリティ』にとって不快な情報
しかし、この説明だと、わかったような、わからないような、モヤモヤした気分にならないでしょうか。私は、「炎上は、なんらかの『持たざる者』や『マジョリティ』にとって不快な情報が流れると起きる」と考えています。
例えば、高年収の人が「節約術」と称して、低年収の人々にとっては当たり前の生活をひけらかすような内容を発信すれば、それはたちまち炎上します。独身者が子育ての苦労について内実を知らずに語ったり、男性が女性のキャリア選択について断定的に語ったりするのも、同様です。
これは、情報を受け取る側が「この人は私の苦労をわかっていない!」「この発言は、私の立場を軽視している!」と感じることで、強い不快感と怒りを呼び起こすからです。
これは、マスコミが報じるニュースにも同じことが言えます。例えば、テレビ番組で有名人が高級ブランド品を買い漁る様子を放送すれば、多くの視聴者は「羨ましい」という感情を抱くかもしれません。
しかし、もしそれが、視聴者の多くが経済的な不安を抱えているような状況下であれば、その「羨ましい」という感情は、瞬時に「不公平だ」「なぜこんな時に」という怒りの感情へと反転するでしょう。
「タブー」の境界線
これが、多くの人が抱える「モヤモヤ」を刺激し、炎上へと発展するのです。
そこで、ここ数年で起きた具体的な炎上事例を振り返ってみましょう。今から挙げる事例は、世の中の「モヤモヤ」や「持たざる者」の感情を、いかに安易に刺激してしまったかを示しています。
▼コンビニ弁当の「上げ底」問題
ある大手コンビニチェーンの商品に関して、「パッケージの底に隠された空間があり、見た目より内容量が少ない」という疑惑がSNSで拡散されました。これに対し、企業のトップが「そんなアコギなことはできない」と反論したところ、さらに多くの消費者から「いや、それは虚偽だ」「消費者を馬鹿にしている」といった批判が殺到し、炎上しました。
このケースは、消費者が「企業に騙されているのではないか」という不信感、つまり「持たざる者」である消費者と「持つ者」である企業との間に存在する潜在的な不満を刺激してしまった典型例です。
▼有名フィットネスクラブの広告
あるフィットネスクラブの広告が、「お手伝い」という名目でジムの清掃や業務を会員に募り、その報酬が通販サイトのギフト券だったため、「労働に対する報酬が不適切だ」と批判を浴びました。
これは、低賃金労働や経済的搾取に対する社会的な不満が背景にあり、「お手伝い」という言葉の裏に隠された「安く労働力を確保したい」という企業の思惑が透けて見え、多くの人々の怒りを買ったのです。













