免疫力はどうすれば上がるのか?

下山 「笑えば免疫が上がる」「ストレスがあると免疫が下がる」という方もいますが、私は以前、そのようなエビデンスがない話は嘘くさいと思っていました。ところが、最新の免疫療法に実際に携わってみると、そういう話が一周まわって本当に影響あるかもしれないなと思うようになりましたね。

山田 ほう、一周まわって。

下山 先ほどのCAR-T細胞療法では、治療してから免疫が回復するのに1~2年かかります。その間、免疫状態を細かくチェックしているのですが、ストレスが免疫に影響しているのではと感じることがあります。

免疫が戻っていないのに「元気だから」と無理して仕事を再開したり、過剰なトレーニングを始めたりした途端に、数値が悪化した例もあります。ですから、しっかり睡眠をとって、笑顔で毎日をストレスなく過ごすというのは、やはり免疫に影響があると今では思っています。

山田 僕は、がんを公表してから仕事が減ったのがストレスですね(笑)。「何かあったらどうするんだ」と敬遠されるんです。糖尿病や透析の人にはそんなこと言わないのに、なぜかがんは、「明日にも死ぬんじゃないか」と思われてしまう。芸能人ががんを公表しない理由がよくわかりました。

がんは2人に1人が罹る病気ですし、がん患者でも普通に働いている方は世の中にたくさんいらっしゃると思うんですよ。

 いっぱいいますよ。私が本を出して一番驚いたのは、読んでくださった方の中に「実は自分も」とおっしゃる方がたくさんいたことです。みなさん、周りに言っていないだけなんですね。

東えりか氏(撮影/野﨑慧嗣)
東えりか氏(撮影/野﨑慧嗣)

山田 そのことをもっと多くの人に知ってほしいです。僕はがん患者だからと変に気を遣わないで普通に扱ってほしいし、特別なことをしたいとも思いません。だから家族にも今までと同じ感じで接してほしいし、自分の時間を犠牲にしてほしくないんです。

下山 私も、患者さんやご家族には、あえて同情しすぎないスタイルをとっています。最初に、治らないものは治らないと正直に言いますし、緩和ケアの話も普通にしますが、ちゃんと患者さんの目を見て、隠さず伝えています。

ご家族や周りの人は想いがありますから、どうしても悲嘆に暮れて、別世界に行った人のように特別扱いになってしまいます。当たり前なことではありますが、逆に患者さんにとってはそれが一番つらいことだと思うので。なので、医者の立場としては、上でも下でもなく、一緒にこの病気と戦うために必要なことは何かを感情を挟まないで説明していく。そのほうが信頼されることもわかってきました。

山田 僕も、主治医に「完治はしないだろう」と言われました。たとえ寛解しても、再発する可能性が高いがんであると。こういう話をすると、本人はがんの自覚症状がないのにも関わらず、周りに甘やかされるんです。甘やかされつつ、仕事が減っていく。

下山 医学は日進月歩で、今は治らないとされているがんでも、数年後には新しい治療法が出てくる可能性があります。それまで粘ることが大切です。