「汁なし麺」が原材料費高騰の救世主となるか
そんな中で近年、業界の救世主として存在感を強めているのが「油そば」や「まぜそば」などの汁なし麺だ。これらはスープを炊かずに成立するため、光熱費・食材費を抑えやすく、麺量を200g以上に増やすなど満腹感を提供する工夫がしやすい。
また、タレや油の組み合わせ、多彩なトッピングのアレンジによって高い満足度を維持しながら、1000円以内の価格をキープできる点が強い。ブーム前から油そばで大ブレイクしている浜松町の人気店「MENクライ」の店主・高橋宏幸さんは語る。
「一般層の方々に『まぜそば』がラーメンの1ジャンルとして認知が広まり、立場が確立してきています。私としては『まぜそば』の主役は“麺”だと思っていますが、世間では自分好みにカスタマイズできる部分や手軽さがその魅力になっていると思いますね。
ただ、今後乱立するとお客さんも飽きるきっかけになるので、これからは競争は激化するでしょう」(高橋さん)
チェーン店では「東京油組総本店」や「元祖油堂」が大躍進しており、このジャンルが消費者にとって安定して満足できる選択肢として定着したことを示している。2026年はこの勢いがさらに拡大し、都市部だけでなく地方でも油そば市場が広がるだろう。
また、個人ラーメン店にとっても油そばやまぜそばは原価率調整に非常に有効だ。メインのラーメンは素材を惜しまずにクオリティを追求しつつ、サブの看板として汁なし系を据えることで、店全体の利益構造を安定させることができる。この“二枚看板”戦略は2026年の標準モデルになる可能性が高い。
そして2026年を語る上で欠かせないのが、外食産業全体を揺るがしている「個人店M&Aの加速」である。ここ2〜3年で急増しているこの動きは、ラーメン業界でも例外ではない。吉野家ホールディングス、クリエイト・レストランツ・ホールディングス、魁力屋など、大手企業が相次いで個人店を買収し始めた。
背景には、ラーメン職人としての技術には長けている店主でも、経営・採用・法務・財務といった分野に長期的に対応し続けるのは難しいという構造的な課題がある。3〜5店舗規模のミニチェーン、あるいは地域密着型で複数店舗を構える“地方の雄”と呼ばれる存在が、事業承継を理由にM&Aを検討するケースが増えている。












