「石破前首相は、黙りなさい」

それができないのであれば、それは「バランス感覚」などではない。単なる「臆病」であり、さらに言えば「卑怯」である。

そもそもアジア版NATOなどという、愚にもつかない非現実的な政策を掲げて、即行で取り下げたのは石破氏だ。

石破茂氏に告ぐ。

あなたが総理大臣経験者としてなすべきことは、高市総理の揚げ足取りではない。ましてや、中国のご機嫌取りでもない。

「中国の横暴は許さない」という、主権国家としての当たり前の意思表示だ。もしそれが口にできないのなら、あるいは口にする勇気がないのなら、せめて沈黙を守ってほしい。

あなたの「中途半端な正義感」に基づいた言葉は、今、日本の立場を弱くし、国民を不安に陥れている。

かつて鳩山由紀夫氏は、総理退任後も独自の外交を展開し、国民を呆れさせた。

石破氏には、「第二の鳩山」にならない賢明さを期待したいところだが、今の振る舞いを見る限り、その期待は裏切られつつあるようだ。

「石破前首相は、黙りなさい」。

乱暴な言葉に聞こえるかもしれないが、これこそが、今の日本が混乱を避けるために彼に送るべき、最も的確なアドバイスなのかもしれない。

文/小倉健一