この国がいよいよ「神話の終焉」の最終局面へと向かっている

対照的に、エヌビディアの決算発表によって日経平均が不自然なほど跳ね上がった現象は、日本市場の脆弱さを露わにした。

日本企業の業績でも改革の成果でもなく、米国の1企業の好決算だけで指数が暴騰するという事実は、日本市場が自律性を失い、外部依存の熱狂に乗せられている証であり、バブル末期に典型的に見られる現象である。

つまり、孫氏とバフェット氏が「熱狂から静かに距離を取った」のに対し、日本市場はその外部の熱狂に再び酔いしれたという構図であり、この対比こそが現在の日本の危うさを象徴している。

私は、円安と株高の過剰反応が強まれば強まるほど、この国がいよいよ「神話の終焉」の最終局面へと向かっていると感じている。延命され、誤魔化され、積み上げられてきた見せかけの強さは、いま落差だけを肥大化させている。

構造は高く積み上がれば積み上がるほど、崩れた時の衝撃は大きくなる。逆回転とは、その落差が一度に噴き出す現象であり、円だけでなく、株も債券も心理も、一斉に裏返る潮目の転換である。

逆回転はすぐそこだ

私は確信に近い感覚で捉えている。壮絶な逆回転は2年以内に訪れる。それは予言ではなく、長年先送りされてきた痛みが、いよいよ決済されるという事実にすぎない。

円安、株高、国債、日銀、財政、政治、心理、そのすべてが同時に裏返る瞬間であり、これまで覆い隠されてきた幻想が一気に剝がれ落ちる局面が必ず訪れる。それは恐怖ではなく、本来向き合うべき痛みの正常化である。

しかし、この国が痛みと向き合う覚悟を持たないまま迎える逆回転は、通常よりもはるかに激しく深いものになるだろう。

還暦を過ぎた私にとって、その瞬間は人生最後にして最大の投資機会となる。その一方で、私はこの国がようやく現実と向き合う瞬間をどのように迎えるのかを静かに見届けたいと思っている。
日本に必要なのは補助金でも延命策でもなく、ただ一つ、痛みと向き合う覚悟である。そして、その覚悟がどこにも見当たらないという現実こそ、この国の最大の危機なのだと私は思っている。

だからこそ私は、静かに結論づける。逆回転の足音は、すでに聞こえ始めている。

文/木戸次郎