小泉防衛相「岡田氏が何を聞きたかったのかさっぱり分からない」
問題はその「危ないとき」というのがどういうときなんだ? ということになる。そこはあまり明確すぎてもよくない。台湾海峡有事では中国が軍艦によって海上封鎖をしたとき、台湾に侵攻したとき、台湾にサイバー攻撃をしかけたとき、など個別具体的なケースを考えたらきりがない。
だから、「台湾有事が存立危機事態に当たることはあるかもしれない」「日本がアメリカとともに台湾有事で武力行使をすることはあるかもしれないし、ないかもしれない。あくまで、それは個別具体的なケースなので、その時々の判断だ」というのが従来の政府見解だった。
岡田氏はそこで執拗に明確にすることを求めた。さらに、元総理はまだしも、一部の評論家が言っていることにまで総理に見解を尋ねた。
答えてしまった総理も総理だが、岡田氏は何を引き出したかったのか。小泉進次郎防衛大臣が答弁したように「岡田氏が何を聞きたかったのかさっぱり分からない」、である。
その岡田氏も毎日新聞のインタビューで今回のいきさつを振り返っている。それがまた驚きでしかない。
「高市氏の答弁は、一般論として政府答弁を踏襲していた。その答弁に私は不満があった。政府が色々なことを考えて、最終的に決めるというのは政府に大きな裁量を与えている。それはおかしいと思って麻生さんや安倍さんの発言を引用して聞いた。
最初は模範回答だったが、突然に『それはどう考えても~』っていうのは非常に踏み込んだ答弁だった。存立危機事態になりうるケースである。これだけならまだよかったけど、『どう考えても』っていったのがほぼ台湾有事は存立危機事態だと受け止められても仕方のない答弁だった」
毎日新聞の岡田氏インタビューが迷走
「私自身も一定の曖昧さを残しておくことは必要だと考えた。法律の定義、国会答弁を守った上での答弁を期待した。ところが、逆に踏み出して私も驚きだ。非常にまずい答弁だと私も思った」
一般論を述べていた高市総理にしつように質問を重ねて、高市総理が具体的に答弁したら今度は曖昧ではなく踏み出したから驚いた、という。一体どっちなのだろう。さらに驚くのがこの続きだ。
「次の質問者は大串さんにしぼった。大串さんが取り消すチャンスを作ったが拒否されてしまって今日の事態になった」
岡田氏は高市総理が発言を撤回した方がよいという考えのようだ。確かに大串氏は10日の予算委で発言の撤回や取り消しを求めた。このことに防衛省幹部は憤る。
「あの答弁には言葉を失ったよ。撤回なんてしたら、台湾有事で日本は何もしないと宣言したことになる。絶対にあり得ない。立憲民主党というのはどこの国の政党なんだ」
高市氏はこの撤回要求に対して、「政府の従来の見解に沿ったものだった」と釈明。「今後、反省点としては、特定のケースを想定したことについてこの場で明言することを慎もうと思っている」と淡々と語った。













