岡田氏は3本目の矢を放った。この矢がむごかった
この2回目の答弁では「米軍が来援し~」と米国という名前が出たが、やはり最後は「総合的判断だ」と述べていて問題ない。ただ、岡田氏はこれでも満足せずに3本目の矢を放った。この矢がむごかった。
「自民党副総裁の麻生さんは昨年1月にワシントンで『中国が台湾に侵攻した場合には、存立危機事態と日本政府が判断する可能性が極めて高い』という言い方をした。
安倍さんも『台湾有事は日本有事』だと言った。非常に軽々しく問題を扱っているのではないか。軽々しくなるかもしれないという言い方が与党の議員や自衛隊のOBも含む評論家の一部から出ていることを私は極めて問題だと思うが、総理はいかがか」
当時、麻生氏は自民党の副総裁という立場だった。政府ではないから比較的自由に発言できる。安倍氏も元総理だが党の一所属議員だ。そうした重鎮クラスが政府にいないからこそ、時には踏み込んだ発言をして日本の覚悟をちら見せする、というのは「曖昧戦略」だ。むしろ評価するべきだろう。
また、評論家や一部の自衛隊OBの発言への見解を現職の総理大臣に聞くという狙いと神経がまったく理解出来ない。
高市総理は流すべきだった。ただ、ここで高市総理も堪忍袋の緒が切れたのか、険しい表情で答弁をはじめた。
「台湾を完全に中国、北京政府の支配下に置くためにどういう手段を使うか。シーレーンの封鎖かもしれないし、武力行使であるかもしれない、それから偽情報やサイバープロパガンダであるかもしれない。色々なケースが考えられる」
ここでやめておけばよかったが…
ここでやめておけば問題なかったが、この後にいま問題になっている発言が飛び出した。
「だけど、戦艦を使って武力の行使を伴うものであればどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」
「存立危機事態」とは、日本が集団的自衛権を使って戦争に参戦する際の条件のようなものだ。「日本が攻撃を受けていなくても、密接な国が攻撃されて、それによって日本の存立が脅かされるとき」と事態認定したときに集団的自衛権を使うことができる、と2015年に定めた安保法制で規定した。
憲法9条との関係から無条件に日本は他国のように集団的自衛権を同盟国に使うことが出来ない。他国が攻撃されているだけでなく、それを放置しておくと自分たちも危なくなるときに使える集団的自衛権ということだ。













