「20代の頃、子供を作るのはダサいと思っていた」という男性が40代で父親になって見つけた、最高にエモい瞬間
少子化が加速する日本では「子持ち」と「子なし」の分断が起きている。そんななか、若い頃は「子どもを作るのはエゴで、ダサい」と思っていたある男性は、父となって人生観が一変したという。「子どもが人殺しになってもしょうがない」と語る彼に起きた変化とは。
『ぼくたち、親になる』より、一部抜粋、再構成してお届けする。
『ぼくたち、親になる』#1
そういうのがあっても面白いんじゃないか、程度
ただ、「子供は親とは別人格の他人」という考え方は変わっていません。
親が子供の世界にいられるのは、いいとこ8歳、9歳まで。それ以降は外の友達同士で作る「あっちの世界」の住人になってしまう。
これは、親には止められない。子供はいつか親から離れていくし、目の前からいなくなる。制御はできません。やっぱり別人格の他人なんです。
写真はイメージです(PhotoAC)
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だから僕は、子供が将来どんな仕事に就こうが一向に構わないし、もし人を殺しちゃったら殺しちゃったで「ごめんなさい」としか思わない。
そういう意味で僕は、子供を愛してはいるけど、過剰な期待はしていません。夫婦が共同生活をしていく中でのスパイスくらいに考えています。「そういうのがあっても面白いんじゃないか」程度。
だから、親に向いていない人というのが明確にいる、と思うようになりました。
たとえば、自己愛で子供を育てている人。あるいは、自分のコンプレックスを子供の人生で解消しようとする人。自分が就けなかった職業に就かせようとしたり、行けなかった学校に行かせようとしたりする人。
子供にたんまり時間やお金をつぎ込んだのだからと、思い通りに育たなくて苛立ったり、いつまでも子離れできない人がいるじゃないですか。彼ら、彼女らは、子供を育てるということについての理解がないまま、子供を作っちゃった。正直、バカなんじゃないかと思います。
いいとこ10年、15年くらい面白いってだけですよ。子育てなんて。
文/稲田豊史 サムネイル/PhotoAC
2025/10/8
1,980円(税込)
256ページ
ISBN:978-4778340537
残酷で切実!
超少子化時代に耳を貸すべき
父親たちの不都合な本音。
Web連載時に賛否両論巻き起こした話題沸騰のルポルタージュ、待望の書籍化!
ある男性は「自分の職業にとって、子育てはハンデだ」と言った。
ある男性は「子供が生まれた時点で妻への愛情はゼロになった」と言った。
ある男性は「人間は子供を作って当然。作らない夫婦には問題がある」と言った。
ある男性は「少子化の原因は“女性の幼稚化”だ」と言った。
ある男性は「キャリアの天井が見えたから子供を作った」と言った。
ある男性は「実験のために子供を4人儲けた」と言った。
ある男性は「神様、どうか子供ができませんように」と祈った。
ある男性は「子供がいる人といない人では、根本的に理解し合えないのではないか」と逆質問してきた。
ある男性は「自分の気を狂わせないために、“変化し続ける”対象として子供が必要だった」と語った。
令和の日本で子供を持つ/持たない男たちのビターな現実が今、白日の下に晒される。
それでもあなたは子供を作りますか?