9割がつらい仕事でも1割の喜びが凌駕する瞬間がある

スベることは日常茶飯事……そんな鋼のメンタルが培われた屋良だからこそ、実現できる介護の形を模索している。改めて、芸人になってよかったかと質問を投げかけると、

「っていうか、もう正解にするしかなくないですか? やっぱり常に思いますよ。芸人ではなく体育教師になっていたら、今頃マイホームも買っているだろうなとか。

でも、体育教師を選んでいたら、テレビを見るたびに『ここに出る人になりたかった』と後悔している自分も見える。どちらを選んでも絶対に後悔はすると思うんですよ、人間って。だったら後悔することも含めて納得するほうを選んで、それを正解にするしかない。

東京から沖縄に戻ってから1000万円を持ち逃げされたり、しなくてもいい嫌な経験もしましたが、でもトータルで考えてみると、よかったのかなって思える。嫌なことよりもたくさんの人の笑顔を以前よりも近くで見れましたから。

どんな仕事でも『うわ、しんどい』が9割であっても、残りの1割にとてつもない喜びがあれば、9割は昇華できてしまうと思うんですよね。芸人なら、その1割は『ウケる』こと。今、僕は老人介護施設を回りながら、その1割、その一瞬を探す作業をしているような気はしますね」

屋良のパッションが、沖縄の介護を明るく照らすかもしれない。

(前編はこちら)

地域密着で地元の人々のために笑いを届けているパッション屋良 (写真/本人提供)
地域密着で地元の人々のために笑いを届けているパッション屋良 (写真/本人提供)
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取材・文/池谷百合子