「ゴールデンゾーン」の品揃えで店の実力がわかる
生活者の心理や行動を反映し、売り場づくりを工夫することを「インストアマーチャンダイジング」と呼ぶ。たとえば、売れ筋商品や買ってもらいたい商品は「ゴールデンゾーン」に並べるのが鉄則だ。
ゴールデンゾーンとは、消費者の目線の高さに配置された陳列線のこと。このゾーンに商品を配置することで、消費者の目に留まりやすくなり、購買意欲を高める効果がある。来店客は正面ではなく、やや下に目を向けながら売り場を見ている。大人なら、ゴールデンゾーンは床上70~140センチメートル程度になる。
ゴールデンゾーンにどんな商品を並べているかを見るだけで、その店の品揃えレベルがわかる。繁盛店ではトレンドを押さえた新商品や人気商品、売れ筋商品などが並ぶが、不振店では空いている棚に商品を押し込んで補充するため、棚全体に一貫性がなく、売れ残りのアイテムが展開されている場合がある。また、利幅の大きい商品を売りたいがために、消費者のニーズとかけ離れた品揃えをするスーパーも散見される。ゴールデンゾーンは、スーパーマーケットの力量を測るバロメーターだ。
茨城県つくば市にあるロピアのトナリエクレオ店(2021年5月オープン)は興味深かった。ナショナルブランドの売れ筋を1段目に並べて価格訴求する一方、ゴールデンゾーンでは独自性のある商品を置いていた。ドレッシングコーナーのゴールデンゾーンには、大分の「フンドーキン醬油」の商品が4列、小豆島の「タケサン」が7列陳列されているなど、ほかのチェーンでは見られない配置で、「この商品を売りたい」という店側の主張が伝わってくる。
同じ商品でも、その並べ方で売上が変わる。限られたスペースで最大限の効果(売上や収益)を発揮できるか否かは、どの場所にどの商品をどれだけ並べるかという「棚割り」によって決まってくる。
文/白鳥和生 写真/shutterstock













