鈴木幹事長「合意はあくまで『今国会の成立を目指す』ですから…」

実際に昨年の衆院選で落選した自民議員が党本部に集まった会合で、鈴木俊一幹事長は「定数削減を目指す維新との合意はあくまで『今国会の成立を目指す』ですから。『目指す』だけなのです」と説明したという。

鈴木幹事長は9日のBSテレ東の番組でも「(12月17日までの今国会中に)各会派の理解を得るための協議を終え、決めきるかというと、そうならないのではないか」と述べている。

自民党の幹事長、幹事長代行という実力者が公然と今国会で結論を出すことに極めて消極的だ。加えて、与野党超党派の議員連盟が6日、「定数削減と選挙制度は切り離せない」という申し入れを額賀福志郎衆院議長に渡した。

自民・古川禎久議連共同代表は「本流はこっち。政権党が決めたことが立法府のルールまで変えられるようにはなっていない。三権分立から違和感を感じる。勢いでルールを変えることがあってはならない」と、今国会での結論を迫る維新を全否定している。

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実際に削減の方法や法案成立は来年秋以降に先送りしよう

こうした自民内の反発を感じ取って高市総理も直近の言動は極めて慎重姿勢に転じている。

7日の国会答弁では「連立合意書では秋の臨時国会での成立を目指す」と記したことを認めた上で「国勢調査の正式な数値は来年秋になる。(連立協議の際に)それらも見ながらどう削減するか詰めようという話を(維新とも連立交渉で)たしかにした」と振り返った。

つまり、維新に協力はするが、実際に削減の方法や法案成立は来年秋以降に先送りしようと約束していた、と暴露したといえる。

一方で、維新は吉村代表が10日も「自民と維新で法案をまとめ、この臨時国会で成立させるべきだ。ここでやらないでいつやるのか」と語っている。

連立政権前から維新で唯一、高市氏とつながりがあった連立のキーマンとされる遠藤敬総理補佐官は先月のネット番組で「定数削減法案が否決されたら衆院解散の大義だ」と言い切っている。

実際、維新には実績がある。2011年に大阪府議会では、定数削減を公約に掲げた大阪維新の会が過半数を獲得。当時の松井一郎氏らは、他会派が議場前にバリケードをはるのを突破して強行採決で当時の大阪府議会の定数2割削減を実現させた。

そこから維新は「身を切る改革」を掲げて府民の圧倒的支持をバックに選挙に連戦連勝した。そのときの「成功体験」が維新の原動力だ。