「アメリカのやることはすべて正しい」でいいのか!
懐疑的な思いは、テレビの制作現場に対してだけではない。もちろん野球界にも物申したいことは山ほどある。親会社の人間が出向という形でやってきているとはよく聞く話だ。しかし、親会社に自分の仕事ぶりをアピールするかのように、野球にそぐわない要素を次々と取り入れていっているのが気になる。
試合そっちのけで実施されるイベントが最たるものだ。球場に来ている観客のなかには、野球の試合よりも、こうしたイベントを楽しみにしているんじゃないかと思えるケースもある。こうした現象を「時代の流れ」の一言で片づけてしまいたくない。
本来であれば、プロ野球選手の一投一打に、手に汗握り、胸を躍らせるのが観戦の醍醐味であろう。にもかかわらず、今では試合終了後に開催される人気アーティストのライブが目的の層もいると聞いた。さすがに「間違った方向に向かっているのではないか」と本気で危惧していたものだ。
肝心の試合内容はどうだろうか。セ・リーグを例に挙げると、1番から8番までの全員がバットを振り回す始末。とても打順ごとの役割を果たそうとしているようには見えない。
けれども、解説の仕事でこれを指摘しても、「MLBだってそうじゃないか」の一言で片づけてしまう野球ファンが大勢いるわけだ。
「アメリカのやることはすべて正しい」と断言してしまうのは、いかにも日本人的な論調である。いい加減、こうした考えにメスを入れていかないと、日本のプロ野球がガラパゴス化してしまうような気がしてならない。
さて、連日スポーツニュースのトップで報道されるのが大谷翔平である。並みいるメジャーリーガーたちに一歩もひけを取らず、すばらしい活躍をし続ける姿には脱帽だ。一方で、「もし大谷が引退してしまったら、その後の日本野球はどうなるのだろう」ということも頭をよぎる。
大谷は50年、100年に1人出てくるかどうかの選手だ。今後も多くの日本人選手が海を渡ってMLBに挑戦するだろうが、同等の活躍ができる可能性は限りなく低い。今のうちから日本のプロ野球をしかるべき正しい道に導いておかないと、「野球ファンが絶滅危惧種になる」なんて未来も十分考えられる。













