メガソーラー反対世論の高まりは田久保市長には追い風に
2回目の不信任議決を受けた直後、記者団の前でポロポロと涙をこぼしながら「自分なりには精一杯やり切った」などと口にし、政界から身を引くそぶりも見せた田久保氏。しかし、「選挙には出ない」とは決して言わず、支持者と相談して進退を決めると言って態度を留保している。
そして同じ囲み会見の場で田久保氏は、かつて自分が中心となって建設反対運動を繰り広げた伊豆高原のメガソーラー事業について改めて危機感を強調したのだ。同事業を巡っては事業者と市の間で開発に絡む許可を巡る訴訟が続いている。田久保氏は訴訟の存在を挙げながら、
「市長になって改めて反対側の立場、つまり行政の側からこの裁判をしっかり見ていきまして、大変心配な状況にあると思っております。この場では明言はここまでにしたいと思いますが、これから先また立場が変わりますので、この件は地域の皆様とのお約束でもありますので、しっかり果たしていきたい」と話した。
途中まで話しながら核心は言わないという、卒業証書を巡って一躍流行語になった“チラ見せ”のような説明だが、開発はいつでも再開され得ると強調したいらしい。
また田久保氏は、メガソーラー問題での政府に対する「意見書」を市長の立場で書くため、7月に一度口にした辞意を撤回した、とも説明した。この意見書は結局政府に提出されていないが、自らがどれほど“反メガソーラー市長”だったかを強調した形だ。
この計画を巡っては「自分はアンチ田久保」と認める地元の法曹関係者もこう話す。
「田久保さんはこれまでも『計画が再開される可能性は消えておらず阻止するためにも自分は市長を続ける』と言い、田久保下ろしに動いた市議や市幹部らは『計画は止まっている』として辞任圧力をかけてきました。
実際には計画をやめさせる法的な根拠は弱く、業者がその気になれば工事再開は可能でしょう。この点は田久保さんの主張の方に理がある。
千葉県鴨川市のメガソーラー計画と並び、伊豆高原の計画は東日本では目を引く大規模なものなので、メガソーラーへの反発が強まれば田久保さんの主張に耳を傾ける人が増えるかもしれません」(法曹関係者)
メガソーラー開発は高市政権が明確にブレーキをかける姿勢を示し、鴨川市の計画も違法伐採を理由に千葉県が工事をストップさせるなど注目が高まっている。田久保氏は伊豆高原での計画反対の“顔”として地元政界入りを果たしているだけに、メガソーラー反対世論の高まりは田久保氏には追い風になる













