圧倒的な議員票の支持は揺るがない。はずが… 

そして、中盤には文春砲が炸裂(さくれつ)した。

・なんか顔つき変わった!?
・去年より渋みが増したか
・泥臭い仕事もこなして一皮むけたのね
・ビジネスエセ保守に負けるな
・やっぱり仲間がいないと政策は進まないよ

小泉陣営で広報班長を務める牧島かれん元デジタル大臣の事務所スタッフが動画投稿サイトへの「やらせ投稿」をチーム内のスタッフに依頼していた、とすっぱ抜かれた。これがネット上で大炎上を巻き起こした。

とりわけ「ビジネスエセ保守に負けるな」という言葉が高市早苗氏を指しているとみなされ、ネット上の熱心な「高市ファン」が大激怒した。小泉氏や牧島氏への批判が強まった。

そのなかで陣営内はバラバラな対応になった。小泉陣営トップの加藤氏は「俺が陣営に来る前のことだから」と他人顔。

小泉氏も「責任は私にある」とカメラの前ではいうものの、周囲には「あれはお金を払ったわけではないからステルスマーケティングではないよね」と人ごとのような物言いもしていた。

結局、陣営として誰も「殺害」や「爆破」予告まで受けたとされる牧島氏を、身をていして守ろうとはしなかった。それどころか、メールの内容が週刊誌に漏れたことで「この陣営には裏切り者がいる」と疑心暗鬼になって、チームの内部崩壊が始まった。

ステマ騒動で浮足立った小泉陣営(小泉進次郎氏Xより)
ステマ騒動で浮足立った小泉陣営(小泉進次郎氏Xより)

祝勝前夜祭で完全に浮かれモード  

それでも圧倒的な議員票の支持は揺るがないはずだった。

「地方票はステマ報道もあって下がるだろう。でも議員票は違う。100票は軽く超える。明日は地滑り的な勝利をしたいね」

筆者が取材した陣営幹部は、4日の投開票日前日も自信に満ちていた。そして、各事務所に一本の電話がかかった。

「あすの本番に向けて意見交換会を開きます」

電話は陣営を事実上仕切っていた小林史明事務所からだったという。その日の夜、赤坂の衆院議員の議員宿舎に数十人が集まった。参加した一人が言う。

「最終盤の意見交換会だというから最後の票読みをして、態度を決めていない議員を分担して籠絡(ろうらく)でもしていくのかと思ったらただの飲み会だった。わざわざ地元日程をキャンセルしてきたのにバカみたいだった」

もちろん、呼びかけた側に悪意はなかっただろう。一致結束のためだったはずだ。とはいえ決戦前日に敵陣営もいる議員宿舎に集まるという感覚はどうなっているのだろうか。

「もう祝勝会でもしているのか?」

騒ぎを聞きつけた他陣営の議員が、廊下ですれ違った飲み会に参加している議員に声をかけると「いやいや、何を言っているんですか」と笑顔で答えたという。

そしてメンバーの一部はそのまま夜の赤坂にくり出したという。そうした一部始終が敵陣営から一部のマスコミに漏れて、「決戦前日の祝勝会」と揶揄する報道につながった。

さらに、この飲み会やその前後には、勝利を確信した小泉陣営の中堅・若手からとんでもない発言が飛び出す。