とんねるずの「スタッフいじり」から超人気ユニットに
「いらっしゃいませ! 1名様ですか?」
都内にある串カツ店で、笑顔で客を出迎えていたのは90年代、とんねるずとともに華やかなステージで活躍していた音楽グループ・野猿の元メンバー、カンちゃんこと神波憲人さんだ。
1998年、バラエティ番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』の企画で結成された音楽グループ・野猿。
その中でも、アイドルのようなルックスと抜群の歌唱力で多くのファンを魅了していた神波さんはとんねるずの衣装を担当しながら、メインボーカルのひとりとしてNHK紅白歌合戦にも出場。
そんな彼が、なぜ串カツ屋さんに? 理由を尋ねると意外な答えが返ってきた。
「このお店は家が近くて、仕事帰りに通るたびにちょいちょい気になってはいたんです。たまたま入ったときに店のマスターとプロレスの話で意気投合してしまって。不定期で、ここで飲みイベントをしているんです。本業ですか? 今も映画や舞台の衣装を担当したり、タレントさんへのスタイリングをやらせてもらってます」
神波さんは串カツ店の店員ではなく、現在も当時と変わらずスタイリストとして活動しているという。そんな彼がなぜ、野猿のメンバーに選ばれたのか?
「中学生のとき、氷室京介さんに憧れてバンドを始めたんです。でも、ライブをやるにしても、自分が住んでいた新潟の田舎にはおしゃれな洋服が売っていなくて、どうしようと思ったとき、自分でアレンジして衣装を作るしかない!と思い、ステージで使う衣装制作を始めたんです
そのときは、音楽で食っていけたらいいなという思いはあったけど、すぐに挫折してしまって。それなら、歌手を目指している人に衣装を作ってあげるデザイナーになれたらいいなと思い、デザインの専門学校を卒業して東京衣裳に入社しました」
その後、『ドリフ大爆笑』や『志村けんのだいじょうぶだぁ』などの人気番組を数多く担当し、とんねるずの番組にも関わるように。とんねるずといえば、身内のスタッフを表舞台に引っ張り出すのはお家芸。そんな「スタッフいじり芸」から誕生したのが野猿だった。