「こちら葛飾区亀有公園前派出所×いいゆだね!」(ジャンプ・コミックス13誌出張版 第999巻収録)

今回は、『こち亀』作者・秋本治先生のもうひとつの人情コメディ作品『いいゆだね!』とのコラボエピソードをお届けする。

本作は『こち亀』の連載35周年を記念して、集英社のコミック雑誌13誌に『こち亀』を描き下ろすという企画で描かれた作品の中の一本だ。「スーパージャンプ」の2011年19号に掲載された。

そして『いいゆだね!』は、1994年に「スーパージャンプ」で3話が掲載された作品で、『こち亀』の連載終了の翌年となる2017年から2019年にかけては、「ウルトラジャンプ」で不定期掲載された。

かつて色町だった墨田区玉の井で、熊井虎五郎とその孫・鷹織(たかお)は、鄙びた銭湯を営んでいた。

そこに、ブラジル娘・マリアが押しかけ女房として現れる。彼女は世界各地を放浪中の熊五郎(虎五郎の息子にして鷹織の父)の妻だという。彼女は持ち前のバイタリティで廃業寸前だった銭湯を盛り立て、熊五郎、鷹織と本当の家族となっていく。

『こち亀』よりも、さらに下町の風景を残す地を舞台にした、人情コメディの傑作だ。機会があればぜひ読んでみてほしい。

「ウルトラジャンプ」2017年4月号より。連載スタート時の扉ページを公開!
「ウルトラジャンプ」2017年4月号より。連載スタート時の扉ページを公開!

さて、本作をお読みいただく前に、今回も東京の銭湯について少し述べておこう。

東京では、1940年代の第二次世界大戦によって銭湯の多くが廃業・焼失したが、復興と人口集中によりその数は増加。その後1960年代後半からは、一般住宅での内湯の普及に応じて再び減少していく。

近年では2020年からのコロナ禍、今年の燃料費の高騰によってさらに厳しい状況に置かれたことも。それでも今なお、多くの銭湯は生活インフラとして、庶民の憩いの場として営業を続けている。

関東、特に東京の銭湯では、寺社仏閣を思わせる宮作りの構えや壁面に描かれたペンキ絵などが特徴的だが、これらについては10月12日からお届けする「東京銭湯絵巻の巻」(ジャンプ・コミックス第130巻収録)でたっぷりご覧いただけるので、お楽しみに。

それでは次のページから、両さんたちと一緒にひと汗流して爽快な気分になってください!!