「来週これやるから、お前らも練習しといて」

「とんねるずさんの番組『みなさんのおかげでした』の中に、当時『うたばん』(TBS系で放送されていた音楽バラエティ番組)をパロディにした『ほんとのうたばん』というコーナーがあって。とんねるずがモーニング娘。とかSMAPとか、いろんなアーティストのものまねを披露していたんです。

その中で、おふたりがKinKi Kidsのものまねをするにあたって、バックダンサーを用意しようか、という話になったんです。

すると石橋貴明さんが僕たちスタッフを見て、『わざわざダンサー呼ばなくても、うちにいっぱいいるじゃん!』と言い出したんです。その後、スタジオで曲のVTRを見せられて、『来週これやるから、お前らも練習しといて』と言われて、1週間ほど練習をしていざ本番に。

僕らは素人ですから、ダンスも揃わずバラバラでひどい仕上がりだったんですが、それが視聴者の方から大反響だったみたいで。貴明さんが当時のエイベックスの専務さんに電話してくださるなどして、とんとん拍子にデビューが決まったんです」

歌唱力に定評のあった神波さんは、その後、メンバー内オーディションでメインボーカルに選ばれることに。

そして作詞・秋元康、作曲・後藤次利というゴールデンコンビを迎え、98年4月に発売されたデビュー曲『Get down』(ゲット・ダウン)は、オリコン初登場でいきなり10位に輝いた。

野猿のデビュー曲『Get down』
野猿のデビュー曲『Get down』

「サビではソロパートも多かったので、当時は緊張しっぱなしでした。『Get down』が予想外に売れたこともあって、続けてセカンドシングル『叫び』を出したら、これも初登場2位にランクインして。

その後は武道館や横浜アリーナでのコンサートや、いろいろな歌番組にも出演させていただいて、さらには紅白歌合戦出場まで。まさか、あんなに人気が出るなんて、誰ひとり考えていなかったと思います」