陣営がズッコケた進次郎氏の「思い出」演説 

「なんだこの演説…」「中身がなさすぎる…」 

4日、自民党総裁選の決選投票前、最後の支持を訴える演説。進次郎氏が「仲間たちのおかげでこの舞台に立てました」などと陣営への感謝や初当選時の思い出話ばかり語ると、その場に出席していた議員は関係者と思わずそうLINEでやりとりしたという。 

総裁選1回目の投票結果発表の様子(自民党広報Xより)
総裁選1回目の投票結果発表の様子(自民党広報Xより)
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決選投票前の演説は1人5分。高市氏が国家像のほか物価高対策や外交、経済政策などに取り組む決意を述べたのとは対照的に、進次郎氏はほぼ感謝と思い出を語ることに終始した。

「今も派閥を率いる麻生太郎最高顧問が事実上、麻生派議員に高市氏への投票を呼び掛け、さらに1回目投票で麻生氏に票を回してもらった小林鷹之、茂木敏充の両陣営が高市氏に流れたことも大きいが、最後の演説で『進次郎ではダメだ』と思った議員が一定数いたと思う。重要な場面で、カンペを見ないで話したと思ったらこれか、とズッコケた議員は多かったのでは」(自民議員)

総裁選後のチーム小泉(小泉進次郎Xより)
総裁選後のチーム小泉(小泉進次郎Xより)

昨年の総裁選では選択的夫婦別姓などを掲げて保守票を取りこぼし、さらに論戦力不足を露呈した反省を踏まえ、今回は立候補表明以来、防戦に徹していた進次郎氏。

「ステマ」疑惑などが報じられても多くのメディアで優勢とされ、陣営には安堵感が漂っていたという。

「進次郎氏が勝つことを前提に、早くも人事や連立拡大の話がされていましたし、総裁選当日は、総理になる進次郎氏といち早く写真を撮ったり話したりしたいと、地方議員がわざわざ地元の重要会合を休んでまで進次郎氏の決起集会に来ていました。完全に『勝った』という雰囲気でしたね」(自民党関係者)

後ろ盾の菅氏がいなくなると、総理への道はさらに険しく… 

そんな直前までの「勝った」という雰囲気から一転、「ズッコケ」のイメージがついてしまった進次郎氏だが、彼の今後は……。

「総裁選で2回も失速すると、『刷新感』という進次郎氏最大の武器が失われてしまう。若手時代から歯に衣着せぬ発言で注目を集め、総裁選に立候補したもののチャンスをつかめず、今回は出馬すらかなわなかった河野太郎氏を彷彿とさせる」(全国紙政治部記者)

総裁選直前の河野太郎氏と小泉進次郎氏(河野太郎Xより)
総裁選直前の河野太郎氏と小泉進次郎氏(河野太郎Xより)

さらに進次郎氏の今後を左右するのが、後ろ盾となっていた菅義偉元首相の去就だ。菅氏は長らく体調不良がささやかれており、次期衆院選には出馬しないとの見方も強い。

「今回、進次郎氏陣営についた議員には、菅氏に近い議員も多い。菅氏が積極的にほかの議員を支援したい中堅・若手議員をも進次郎陣営に引き込んだ。それだけに菅氏が引退すると、今回ほどの議員票を集められない可能性も高くなる。

そもそも進次郎陣営には進次郎氏の人気にあやかりたい、という思惑があった人も多く、今回の『ステマ』の印象も含めてアンチが増えた進次郎氏の求心力は落ちていくのでは」(同)

菅義偉氏(本人Xより)
菅義偉氏(本人Xより)

いっぽう、もう一人の重鎮、岸田文雄前首相は高市氏と距離があり、しばらく政権中枢や党執行部への影響力はそがれるとみられる。

ただ、仮に次回総裁選に進次郎氏が出馬するとしても、自身の主流派復帰を目指して進次郎氏につくかは微妙だ。

「岸田氏は今回、高市氏VS小泉氏の決戦投票の場合、小泉氏を支援するとされていましたが、前回総裁選の石破氏VS高市氏の決選投票のときのように大々的には動きませんでした。

進次郎氏の能力にも疑問を持っていたとみられていますし、今後、場合によっては岸田氏自身も再登板への意欲があるとされています」(同)