閣内に取り込まれると、課題の党員票伸長も難しく
高市政権では非主流派となる菅氏と岸田氏、2人の重鎮の今後も不透明で、正念場を迎えている進次郎氏。そんな進次郎氏について、高市氏は農相以外の閣僚への起用を検討中と報じられている。
「進次郎氏が高市氏の決選投票で票数がもっと競ったものであれば、党内融和を優先して幹事長に推す声も高まっていたでしょうが、決選投票では進次郎氏が優勢とみられていた議員票でも高市氏に負けた。陣営内でも『2位の進次郎氏にそれほど配慮する理由はない』との声が上がった」(自民関係者)
そんななか、高市氏のもとで閣内に入ることは、進次郎氏にとって諸刃の剣だ。
大臣になることで、国会答弁や記者会見など、日常的にメディア露出の機会は保たれる。農水相として備蓄米放出などで注目されたように、閣僚として一定の評価を得られる可能性もあるだろう。
ただ、国会や会見で再び「進次郎構文」とも揶揄される、要領をえない応答をしてしまうと、議員や有権者から見放される可能性もある。また、大臣としての公務が平日・土日関係なく入るため、地方回りをしにくいというデメリットもある。
石破茂首相や高市氏は、無役のときに地方での講演会や選挙応援をこなし、総裁選での党員票獲得につなげてきた。今回党員票が伸びなかった進次郎氏としては、自由に地方に行けないことのデメリットは決して小さくなさそうだ。
さらに、閣内に入ると「高市おろし」に加担しにくい、という事情もある。高市氏は7月の参院選期間中、「私なりに腹をくくった。
もう1回、党の背骨を入れ直す」と、事実上の総裁選出馬宣言ともとれる発言をし、フライング気味に「石破おろし」の流れを作ったが、これは高市氏が閣内にいなかったからこそできたこと。閣内にいる場合は、首相に楯突く形で自身が総裁選に向けて動きづらくなる。
初当選時から「自民党のプリンス」として注目を浴び続け、「いずれ総理になる」と目されてきた進次郎氏。3度目の総裁選挑戦で首相の座を射止めた父・純一郎氏のように「3度目の正直」を実現できるか、「2度あることは3度ある」で、これからも失速してしまうのか。
はたまた今回、小泉氏の支援に回った河野太郎氏のように、総裁選出馬すらかなわなくなってしまうのか。つかみかけた首相の座がするりとこぼれ落ちてしまった進次郎氏の正念場が続く。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班