主要な役職を経験していない世襲のプリンス
ただ世襲のプリンスとして当選回数を重ねた人物よりも、総理総裁として有事の際にその地位に相応しいと思う国会議員は本当にいないのか。
日本経済はデフレから脱却の兆しが見え始めたところだ。小泉進次郎氏の閣僚経験は環境大臣と農林水産大臣としてのキャリアしかない。彼は日本経済全体を見渡すポジションに就いて実務を担ったことがない。
これまで自民党は財務大臣、経済産業大臣、外務大臣、または官房長官のような主要な役職を経験した人間を総理総裁に選んできたのではないのか。自民党の経済政策の混乱によって30年間のデフレが続いてきたとしても、それでも何の実務経験がないド素人を選ぶという選択は流石にしてこなかったはずだ。
面従腹背の官僚を従えることは非常に難しい。そのような官僚たちを統率するためのキャリアは明らかに不足している。世襲のプリンスを支える存在として各省からお膳立てされた役人たちが彼を取り囲んでいる姿が目に見えるようだ。
自ら選挙の価値を毀損する行為をしてしまった
「2030年度までに名目賃金100万円の上昇」という公約は、現在のインフレ率・名目賃金上昇率を見れば容易に達成できるため「役人に任せて何もしない」と述べているのに等しい。そのような目標を掲げて疑問を抱かない総理とは一体なぜ存在するのか。
自民党の国会議員は国民の生活や日本の将来がかかった経済政策に対する責任感を既に失ってしまったのか。
世界情勢は権威主義国の台頭によって乱れている。権威主義国の指導者はオールドメディアを統制してSNS規制を進めている。政権から見て不都合な国民の言論を制限することに何ら躊躇いはない。
小泉進次郎氏の陣営は、今回の総裁選挙においてステマを行うためのマニュアルを自陣営に配布するなど、自ら選挙の価値を毀損する行為をしてしまった。また、彼の地元である神奈川県連で党員名簿削除に関するミスが生じたことも事実だ。このような状況が起きてしまった以上、権威主義国と対峙する民主主義国のリーダーとして相応しいか疑問だ。