12年前のあの日、何があったのか
そして、ペットボトルのフタを開き「やっくん、一緒に飲もうや」と、お茶を飲みはじめた彼は、「享年37歳か…。やっくんより年上になっちゃったよ。」と、墓石に刻まれた文字を眺めながら、ポツポツと事故当時のことを話し始めた。
「事故が起きたあの日は熊本のイベントに向かっている途中で、バンドメンバーみんなでやっくんの運転する車に乗っていたんです。
当時は雨が降っていて霧もすごくて。いろいろな悪条件が重なって起きてしまった事故でした。車は山口県のパーキングエリア付近の、魔のカーブと呼ばれる、中央分離帯に衝突する事故を起こしてしまって。
その後、後ろからトラックが突っ込んできて、車のドアを開けて電話してくれていたマネージャーが轢かれてしまったんです……。気づいたら僕は、痛みに耐えながらも着ていた服を脱いで振り回し、車の外に出てこれ以上事故が起きないよう、叫び続けていました。
そこへやっくんが駆け寄ってきてくれたので、救急車と警察を呼ぶようにお願いしたところ…その時、走ってきた別の車に跳ねられてしまって…。」
TaiGaらメンバーは病院に運ばれ、一命を取り留めたものの、やっくんとマネージャーは亡くなってしまった。
その後、バンドは解散し、他のメンバーは芸能界を引退することになったという。
しかし、TaiGaが今も芸能活動を続けられる理由は、生前のやっくんからかけられたある言葉のおかげでもあるという。後編ではTaiGaの人生を変えたやっくんの言葉を紹介する。
取材・文/佐藤ちひろ