「そんなのやるわけないじゃない!」
大澤氏が理事長を務める社会福祉法人・明光会に電話をかけ、職員に趣旨を伝えると、「少々お待ちください」と保留音に。数分後、電話口に現れたのは、大澤氏本人だった。
––––19年度、知事を退任される直前に大規模修繕事業の予算を増額されています。
「覚えていませんよ。現場の仕事に、私はタッチしてなかったですから」
––––ご自身の運営施設に補助金が優先的に回るよう働きかけたことはありますか?
「そんなのやるわけないじゃない! 福祉施設なんて、群馬県にいっぱいあるんだよ。それを特別に、私のところに補助金をつけるなんてこと……部長連中も職員連中もみんないるわけですよ。それを上からトップダウンで下ろすなんてこと、間違ってもできるわけないじゃない。
常識で考えてくださいよ。そんなことには、いっさい携わっていません。信念をもって、そう言えますよ」
大澤氏は強い口調ですべてを否定した。
だが、冒頭で取材に応じた施設長は、「補助金が一部の人に私物化されているのではないかと正直思ってしまいます」と複雑な胸の内を明かし、最後にこう言った。
「入居者さんには、雨漏りのない、冬はもっと暖かい部屋で過ごしてほしい。だから、今年も補助金の申請を出すつもりです」
疑念の入り込む余地のない、公平で開かれた補助金事業の運用が望まれている。
文/集英社オンライン編集部