親世代にできることは何か

虚偽や誤解を招くコンテンツが放置されている現状を変えることはできないのだろうか。

「インターネットは“自由な発信”が前提なので、削除の判断は結局プラットフォームの利用規約に依存します。明らかな名誉毀損や虚偽であれば通報で削除される場合もありますが、“事実と異なる”と証明するのは非常に難しいのです」

山口氏がテレビ番組で共演した著名人も、事実と異なる動画が拡散された際に「事実無根」と通報したが対応されなかったという。特に漫画動画のようなイラストやアニメ形式だと肖像権侵害でも訴えづらく、対応がより困難になる。

「明らかに侮辱的・差別的ならすぐ判断できますが、漫画動画のように『曖昧な表現』だと削除すべきかどうか非常に難しい。プラットフォーム側にとっても悩ましい問題と考えられます」(同)

ガイドラインはあるものの法的に明確とは限らず、結果として悪質なフェイク動画や誤解を招くコンテンツが残り続ける……。そうなると今後も親世代がこうした動画にハマる状況は減らないだろう。

「見るのをやめて」と言って聞き入れてもらえないなら、デジタルデトックスではないが、旅行などに誘ってYouTubeから切り離そう。この世界にはゴシップよりも面白いことはたくさんあるのだから。

実際のサイトには著名人の名前や似顔絵が
実際のサイトには著名人の名前や似顔絵が
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取材・文/千駄木雄大