「『離婚』のほうが『結婚』より何倍も楽しい」 

一方、巷では「離婚は結婚の10倍の労力を要する」などと言われているが、4度の離婚を経験した及川さんは実際、どうだったのか。

「私、もともと編集者なんで。職業柄、事務作業は得意なんです。だから(結婚や離婚の手続きに必要な)事務作業が得意な人は何回でも結婚して、ダメだったら何回でも離婚すればいいじゃんって思いますけどね」

とあっけらかんとした様子で語ってくれた。さらに、

「正直、『離婚』って『結婚』の何倍も楽しいですからね。離婚した瞬間の解放感やワクワク感、逃げ切った感とか、いろんなアドレナリンがドバーって出るんです。だから絶対、結婚より離婚のほうが何倍も楽しいですよ」

すでに及川さんの周囲も離婚報告に全く驚かなくなっている。4回目の離婚を報告した際は、家族も友人も大笑いだったといい、「息子も『俺、また名字変わるの?(笑)』っていう感じで、息子の友達ももうそれに慣れっこみたいでした」と話した。

こども家庭庁の調査によると、2023年の婚姻件数は47万4741組と前年から3万件以上減少し、平均初婚年齢も妻が約30歳、夫が約31歳と晩婚化が加速。厚労省の調査では再婚に踏み切った人が2024年は夫17.9%、妻15.6%といずれも前年より減少傾向にある。

「結婚は当たり前」という前提はとうの昔に崩れ去り、日本の婚姻市場は縮小と多様化という新たな局面を迎える中、世の中にはなかなか結婚に踏み切れないカップルや、世間体などから離婚をためらう夫婦もいる。そのことについて及川さんはこう言葉をかける。

「結婚に迷っている人はダメだったら別れればいいし、離婚歴なんて誰も気にしてないし、離婚後のお金もパートナーもなんとかなりますよ」

及川さんのような「スタンプラリー」ぐらいの軽やかさが、重たい結婚制度を少しだけ楽にするのかもしれない―。

#1「及川さんの4回の離婚歴の詳細」に迫る 

3番目の夫との間に授かった長女と39歳の及川さん
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取材・文/集英社オンライン編集部特集班