「びっくりして身の危険を感じました」と漏らす市議も
「市長!あなたね、どのツラを下げて市長をやっているんですか!」
市議会にへずま市議の怒鳴り声が響いたのは9月12日の出来事だった。県庁所在地である奈良市では現在、市議会が開会中で39人が議論を繰り広げている。そんな中、へずま市議は奈良市議会の一般質問で、相次ぐ奈良公園のシカへの暴力行為をめぐって罰則強化を訴えていた。
へずま市議は突然市長を怒鳴りつけたあと、「16年市長をやって市民の思いも届かなくなったんですか? 動物はしゃべれませんよ。でも市民はしゃべれる。そんな声が届いていないのって、おかしいですよね」と訴えた。
奈良市議会の関係者が語る。
「仲川市長は決して、へずま市議の答弁を無視しているなどではありません。奈良のシカは文化財保護法や県の条例で守られています。そのため、市の条例の適用範囲が狭いことから市でできることが少ない現状を課題と認識しています。また、規制についても、県や保護団体と協議を進めるとしています。
奈良市議の間ではへずま市議は『未知の相手』として認識されており、彼と絡むことによるSNSでの炎上が怖いと思う人たちがいます。正直、あんまり触れたくないなと思っている市議も少なくない。みんなおっかなびっくりって感じです」
へずま市議が大声を上げたことである女性市議は周囲に「びっくりして身の危険を感じました」と漏らしているという。
地方自治法132条では、議会における議員の言動の規範を規定している。議員は議会中などで無礼な言葉を使用したり、他人の私生活にわたる言論をしたりしてはならないと定められている。
事態を重く見た議会側は、16日に各会派の幹事長会を開いたうえで、対応を協議した。結果、へずま市議の発言は市議としての品位に欠けるとし、今回の口頭注意に至った。
口頭注意の状況を、前出の関係者はこう語る。
「へずま市議は議会の昼休みに議長と副議長に呼ばれました。12時過ぎのことです。そこで口頭注意を受け、反省している表情だったそうです」