麻生氏が小泉氏を支援するのは非現実的
岸田氏と対照的に、前回総裁選で高市氏を支援したのは、現存する唯一の派閥・志公会(麻生派)を率いる麻生太郎最高顧問(84)だ。
麻生氏は総理在任中に、石破農相(当時)から「麻生おろし」を仕掛けられるなど、長らく確執を抱え続けてきた。また、麻生さんは伝統的な価値観を重んじる立場から、昨年の総裁選で1年以内に選択的夫婦別姓の導入を実現する方針を掲げた小泉氏についても、「警戒感を抱いていた」(麻生派関係者)という。
結局、前回の総裁選で麻生氏は「消去法的に」(同前)、派閥を挙げて高市氏を支援するという決断に至った。麻生派の支援もあり、第1回目の投票では高市氏がトップだったものの、決選投票では、石破総理に逆転を許す結果に終わった。
ただ、麻生氏が、今回も高市氏を支援するかどうかは、不確定だとみられている。
「麻生氏は第二次安倍政権が発足した2012年以降、キングメーカーとなり、主流派で居続けることにこだわってきた人です。最終的には勝ち馬に乗るだろうという声は根強い。状況次第では『麻生氏も小泉氏を推すのではないか』という見方も一部で浮上しています」(自民党関係者)
確かに、麻生氏は8月に国会内で30分ほどコメ問題について議論するなど、小泉氏との付き合いも続けてきた。最近になって、小泉氏への評価を変えたとの情報も複数出ていた。
しかし、自民党内では、麻生氏が小泉氏を支援するのは非現実的と言われている。
小泉氏に近い自民党重鎮はこう語る。
「麻生氏としては、小泉氏が自分のほうにすり寄ってきてほしいという気持ちはあるかもしれませんが、もうすでにチーム小泉の陣容は固まっています。いまさら麻生氏が入ってきて、主導権を握るのは難しい。何より、未だに派閥を保持し続ける麻生氏に頼る姿勢は、小泉氏にとってもマイナスイメージになりかねない」
前出の麻生派関係者も指摘する。
「小泉氏の後見人が、麻生氏とウマの会わない菅義偉副総裁(76)なのもネックです。その意味では、“消去法”で再び高市氏を推すシナリオもあり得るでしょう」