「短期決戦の鬼」が語るCSのポイント
143試合を戦うレギュラーシーズンと違い、CS、日本シリーズは短期決戦。野球は流れのスポーツと言われるが、短期決戦ではその「流れ」がより重要となる。2年前の阪神はCSファイナルを3連勝するなど、流れを上手くつかむことができたが、今季はどうか。たとえば、失うもののない下剋上を狙うチームに対して大事な初戦を落としたら……流れが一気に相手に傾くことも考えられる。
では、その「流れ」を逃がさないために必要なことは何か――。かつてソフトバンクでCS、日本シリーズで無類の強さを誇り、「短期決戦の鬼」と称された内川聖一氏はポストシーズンのポイントについて昨年のCS前にこう話していた。
「短期決戦は切り替えが大事と言いますけど、勝っても負けても終わりなのでむしろ『切り替えやすい』と割り切ることも大切です。開き直りとは少し違う感覚で、たとえば1つ2つ負けても焦らない。
打者目線で言うと、1戦目でひとりの先発投手に完璧に抑え込まれたとします。でも、その投手はおそらくCS期間中はもう投げてこない。打てなかったことを気にするのではなく、次の試合でどう打つかを考える。そうすれば、結果はついてきやすいと思います」
藤川監督は優勝インタビューで「我々がリーグチャンピオンです。クライマックスシリーズというのは別のステージになります。このリーグチャンピオンっていうのは絶対消えないので、これを胸に、また別のゲーム、みんな戦ってきます」と、リーグ王者であるプライドと、CSに向けての意識を語っている。
地力が、セ・リーグで頭ひとつ、ふたつ抜けていることはすでに実証済み。リスクも、懸念点もあるCSではあるが、阪神がここからの1カ月強、どんな戦いを見せるのか――。すでに独走で優勝を決めている「2025年の阪神タイガース」から、まだまだ目が離せない。
取材・文/花田雪