中国四大菜系
中華料理は伝統的に「四大菜系」もしくは「八大菜系」に分類されてきた。
「四大菜系」とは、「魯菜」(山東料理≒北京料理)、「蘇菜(淮揚菜)」(江蘇料理≒上海料理)、「川菜」(四川料理)、「粤菜」(広東料理)。
「八大菜系」の場合は、これに「閩菜」(福建料理)「浙菜」(浙江料理)「湘菜」(湖南料理)「徽菜」(安徽料理)が加わる。
「四大菜系」の大まかな特徴は、それぞれ次のとおりだ。
山東料理……「母なる大河」黄河下流域の料理で、後に北京の宮廷料理にも取り入れられた。塩味を重視し、タマネギやニンニクを使った歯ごたえの柔らかい肉・魚・野菜の家庭料理が多い。
江蘇料理……「南の大河」長江(揚子江)下流域の料理で、味付けはさっぱりして繊細。川魚の料理も多く、「和食にいちばん近い中華」とも言える。
四川料理……トウガラシを使ったピリ辛料理で、麻婆豆腐、エビのチリソース煮(乾焼蝦仁)など、庶民的な料理を主とする。日本人になじみが深い。
広東料理……南部の広東省と香港を中心にした料理で、高級海鮮料理が多く、味付けは淡泊。スープが必須で、焼売や餛飩などの飲茶(間食用のつまみ料理)も多彩。
対照的な和食と中華
和食と中華料理は、対照的な点が多い。
まず、和食は一膳一膳、各人に供されるが、中華料理は円卓の中央に大皿が置かれ、めいめいが箸でつついて取り分ける。箸の置き方も、和食は横に置くが、中華は縦に置く。箸先も日本の箸のほうが繊細だ。
調理方法も、和食は刺身など生ものを重視するが、中華は前述のように基本的に火を通す。そして盛りつけも、和食は繊細さを旨とするが、中華は大皿に大胆に盛りつける。
そのため日本料理を「腹一杯にならない」(吃不飽)「目で食べる料理」(用眼晴吃的菜)と評する中国人もいる。
ちなみに経験則から言って中国人観光客が日本で最も好む料理は「焼き肉」である。
文/近藤大介