生き残るには純一郎さんの真似をするしかない
ある石破氏に近い自民党の閣僚経験者がこう語る。
「衆参両方の選挙で負けたんだから、石破政権は死に体だ。生き残るには純一郎さんの真似をするしかない。そのためには進次郎を幹事長にして、裏金議員と旧統一教会とつながっていた議員をすべて非公認にして、『刺客』を立てればいい。
刺客はSNSで公募すればいい。ネット世代の若者や女性をどんどん公認して送り込む。令和版の郵政解散しかないね」
実際に、総理周辺を取材していると、ここまで振り切れるかどうかは別として、起死回生の一手として「小泉進次郎幹事長」というのは想定にはあるらしい。
もちろん、進次郎氏本人が受けるかどうかは分からない。進次郎氏は菅義偉元総理から「自民党が割れるようなことになってはいけない」と言われているからだ。
ただ、石破総理は参院選大敗直後に周辺にこうこぼしたことがある。
「誰がここまで自民党をだめにしたと思っているんだ。俺じゃないだろう。裏金議員たちじゃないか」
昨年秋の衆院選では「裏金議員」を非公認にした一方で、刺客の擁立までは踏み込めなかった。そればかりか投開票日の3日前に、非公認にした裏金議員たちにも公認した議員たちと同様の「2千万円」の選挙資金を振り込んでいたことが発覚。衆院選に大敗して少数与党に転落する原因となった。
石破―小泉ラインで「裏金議員一掃解散」を仕掛ける
それを主導した森山幹事長に代わって、「狂気と熱狂の解散劇」を演出した元総理の次男坊を選挙の指揮参謀役である幹事長に抜擢。石破―小泉ラインで「裏金議員一掃解散」を仕掛ける――。
この「秘策」が石破総理の頭の中にあることはまちがいない。まさに劇薬だ。
いまもっとも自民党から離れている都市部の若者・女性への「石破政権への関心」を引きつける。メディア報道も一色に染まり、退陣論を吹き飛ばす。一時的には支持率が爆上がりするだろう。
自らの延命のために本当に「自民党をぶっ壊す」。8月24日の3時間会食で伝授されたこの「秘策」を実行に移せる狂気と覚悟が石破総理にあるのか。その答えは週明けの8日の「総裁選前倒し」の意思確認のあとに見えてくるだろう。
文/長島重治