前倒し派がやや優勢か…「勝ち馬」ドミノが一気に

「幹事長の職を退任させていただきたい」

2日、両院議員総会が終わりに差しかかったころ、森山氏が辞意を申し出ると、石破首相は少し驚いたような表情をみせたという。

ただ、森山氏は進退について石破首相に預けるとした。石破首相は記者団からの取材に「余人を持って代えがたい」と語り、いまだ森山氏の辞任には至っていない。

参院選結果の総括文書 (自民広報Xより)
参院選結果の総括文書 (自民広報Xより)
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「森山氏は党内外に幅広い人脈をもち、少数与党の政権運営にはなくてはならない存在。森山氏に辞任されたら、政権運営は早々に行き詰まってしまう。石破首相は森山氏を必死に慰留しているようだ」(全国紙政治部記者)

森山氏は一時「国民の世論と党内の世論が乖離しているとすれば、非常に怖いことだ」と、石破おろしをけん制していたが、辞意を表明したことで、石破首相とは少し距離ができる形に。さらにほかの党四役も相次いで辞意を明らかにした。

森山𥙿氏(自民党HPより)
森山𥙿氏(自民党HPより)

党四役が辞任した場合、石破首相には党役員人事をするほどの体力も残っていなさそうだ。

「ただでさえ党内に仲間が少ない石破首相を、この局面で党四役として支えようという議員はなかなかいない。人事ができず、身動きをとれずに追い込まれていくのでは」(自民関係者)

実際、すでに石破首相の包囲網はできつつある。

総裁選の前倒しには、国会議員295人と都道府県連の代表者47人の総数の過半数にあたる172人の賛成が必要だ。日本テレビが先月末に公表した国会議員への調査では、前倒しした臨時総裁選を「行うべき」と答えた議員が120人。前倒しを求める場合には氏名を公表されるが、そのことへの心理的ハードルも下がりつつある。

「石破首相自らが、政務三役が総裁選前倒しを求める場合でも役職を辞任する必要はないと明言。これまでは大半の政務三役が総裁選前倒しへの考えを明らかにしてこなかったが、これで前倒しに賛成しやすくなる。党四役が辞意を表明したことで『国政が停滞している状況を転換する』という理由付けもしやすくなった」(全国紙政治部記者)

石破茂首相(首相官邸Xより)
石破茂首相(首相官邸Xより)

さらに、3日には麻生太郎最高顧問が総裁選前倒しを求めることを明言するなど、前倒し派が勢いを増しつつあることで、総裁選前倒しを求めるほうが「勝ち馬」に乗ることになる、との心理もはたらきそうだ。