「切り返し」の「型」をイメージする

「切り返し」の「型」とはどのようなものか、まずはその考え方をイメージで捉えてみましょう。

「切り返し」の対象はお客さまです。では、あなたがどのような意図で「切り返し」の技術を使い、お客さまにどのように影響を与え、どのような変化や効果が表れるのでしょうか?

そのイメージを言語化することで、「型」の理解が可能になります。

大きな球体があり、その球体を挟んで2人が図のように存在しています。

(『できる営業マンのすごい言語化 「なんとなく」を納得に変える』より)
(『できる営業マンのすごい言語化 「なんとなく」を納得に変える』より)

この2人の見えている世界はまったく異なります。お客さまのもとに営業にうかがったあなたの視点から、「切り返し」とは何かを見て行きます。

①あなたとお客さまは別の世界を見ている

あなたのいる世界の側から光を当てた場合、あなたから見える球体は白です。「何が見えますか?」と聞かれたら「白です」とあなたは答えるでしょう。ところがお客さまからすれば、「黒」にしか見えません。当然「え? 黒ですよ」という答えが返ってきます。
 
これが営業の現場におけるお客さまと営業の立場の違いです。互いの見えている世界の違いを無視して、「白だと言ってください」と営業を続けても良い返事が返ってくることは永遠にありません。そのことをしっかり認識してください。

②お客さまにあなたと同じ世界を見ていただく

白い世界を見ているあなたは、「今日、即決で決めて欲しい」と考えています。なぜなら、せっかく高めたお客さまの「購買意欲」は、明日には低下し、契約率も下がるからです。

一方、黒い世界を見ているお客さまは、すでに脳が疲れ切ってしまい、決断するのをイヤがっています。何とか先送りにしようと「考えてみます」としか言えません。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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この白と黒の境界線が「壁」です。

あなたの営業は、「黒だ」と言っているお客さまに、「白だ」と言ってもらうためのものなのです。けれども、お客さまに「白だ」と分かってもらうためには、あなたが「こちら側からは白です」と言っているだけではダメです。お客さまは絶対納得しません。

ではどうすればいいのか? お客さまに、あなたの側に来ていただき、球体を見ていただくことです。そうすれば、お客さまにも「本当だ。私にも白に見える」と言っていただけます。

このように、お客さまにあなたの側に来ていただき、あなたの言っている「白だ」に対するお客さまの「納得」を取るのが「切り返し」です。

文/乾 哲也

『できる営業マンのすごい言語化 「なんとなく」を納得に変える』(KADOKAWA)
乾 哲也 (著)
できる営業マンのすごい言語化 「なんとなく」を納得に変える
2025/8/20
1,760円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4046077165

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