「リッププランパーは肌の弱い人にはきつい」

――韓国コスメやプチプラコスメの流行で、コスメの種類は各段に増えている印象を受けます。いっぽうで、「リッププランパーがすごく痛い」「眉毛を自分で脱色したらかぶれた」といった声もネット上に見られます。

慶田朋子院長(以下、同) 一部のリッププランパーは、唐辛子に含まれるカプサイシンなどの成分で皮膚を刺激して、腫れる作用を利用して唇を大きくしている商品です。それが皮膚にとって優しいか、いじめているかで言えば、すごくいじめていることになります。

唇は「粘膜移行部」といって、皮膚と粘膜の中間の性質を持っており、解剖学的にも皮膚とは構造が全く異なります。

また、口紅を塗る赤い部分は「赤唇(せきしん)部」、その周辺は「白唇(はくしん)部」と言います。「赤唇部」の部分が赤くツヤツヤしていると魅力が増す、ということがさまざまな研究で明らかになっているので、リップメイクはとても大事だとは思います。ですが、リッププランパーは肌の弱い人にはきついのではないでしょうか。

)写真はイメージです(PhotoACより)
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――私も唇が乾燥したり荒れたりしやすいです。

唇は角層が非常に薄くて水分を保持するバリア層が薄く、皮脂腺が存在しません。ほかにもアイホール(まぶたの周辺)、手のひら、足の裏にも皮脂腺はありません。

では唇はどうやって潤いを保てているのかというと、口の中からの水分(呼気の蒸気)で潤っているだけの状態。だからものすごく乾燥します。しゃべる機会の多さとか周囲の乾燥、食べ物の刺激やメイクの刺激によってかなり影響されます。

写真はイメージです(PhotoACより)
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ただ幸い、唇の赤唇部も粘膜に近い性質を持つので、ターンオーバー(新陳代謝)がすごく盛んなんです。熱いお鍋を食べてやけどをして唇の内側の皮が1枚剥がれても、1日くらいで治りますよね。このように粘膜は再生スピードがとても早い。そのような特徴がある部分なので、いじめるのではなくて、優しく守っていただきたいなと思います。

――先日コスメショップへ行って「リッププランパー」を試してみたんです。「レベルMAX」と宣伝コピーが書かれた商品を唇に塗ったらむせてしまい、さらに口の中が辛くなってしまいまして。

それは相当な濃度の唐辛子成分ですね。カプサイシンは実は皮膚病の治療に使うこともあります。糖尿病などで人工透析をすると、強い痒みが出てくることがあります。その痒みというのが常軌を逸するレベルなので、カプサイシン含有軟膏を塗って、その痛みで痒みを抑える、というような目的で使うほど、かなり刺激が強いのです。また、催涙ガスに含まれる成分としても知られています。ですからリッププランパーの使用は控えたほうが良いと思います。

写真はイメージです(PhotoACより)
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