倒産が進む一方で、新設法人数は過去最多を更新
「倒産」というとネガティブなイメージが先行するが、新陳代謝が進んでいると捉えれば労働者や消費者にとってはポジティブなものだ。
東京商工リサーチによると、2024年の新設法人は15万3938社で前年比0.3%の増加だった。2008年に統計を開始して以来、過去最多を更新している。サービス業は新設法人全体の4割以上を占めており、法人数も4%程度増加している。
若い経営者ほど設備投資に前向きであることがわかっており、中小企業庁がまとめた報告書によれば、40歳未満の経営者で「積極的投資を行なっている」のは56.0%だったのに対して、60代は49.2%だった。
若い経営者が新たな会社を設立することで、新規事業や省人化への投資を積極化すれば、新たなサービスが誕生し、従業員の業務負荷も軽減される可能性が高まることを示唆している。
政府は売上拡大や高付加価値化、省力化、新規事業の挑戦などを目的としたさまざまな補助金を設けている。これは企業が生きながらえさせることを目的としているわけではないため、補助を受けるハードルは高いが、経営者にはそれだけの覚悟が求められているのも事実だ。
また、跡継ぎ問題を解決するための事業承継を目的としたM&Aの補助金も設けられている。M&Aも従業員の雇用を維持し、経営を次の世代へとつなぐ有効な一手だ。
日本の中小企業は大きなうねりの中に身を置いており、経営者は意識改革が求められている。この潮流に取り残されれば、倒産の憂き目を見ることにもなりかねない。
取材・文/不破聡 写真/shutterstock