独自路線すぎる帽子
春夏通算21回の甲子園出場を誇る市岡(大阪)は、帽子に大きな特徴がある。白地に黒の横線が3本も入っている。この3本線は、大阪市で3番目にできた旧制中学ということに由来するという。
この市岡を上回る斬新さを見せるのが、旭丘(愛知)である。春夏合わせて甲子園出場12回の古豪であり、県内トップクラスの進学校でもある。
帽子は頭頂部が平らの形状で、白地に2本線が入った市岡と似たスタイル。それ以上に、旭丘の大きな特徴は胸のマーク。中央に縦書きで「旭高」の文字が入り、2体のしゃちほこが左右対称で文字を囲うように描かれている。独特すぎる胸マークは、同校の校章をアレンジしたものだ。
夏の甲子園出場10回の福岡(岩手)も味わい深い。帽子や胸のロゴマークは「H」のアルファベットが入っている。ヘボン式ローマ字なら「F」になるが、日本式ローマ字を採用している。同校のホームページにも、「Hukuoka High School」という記載がある。
それはさておき、「H」マークは独特の丸みを帯びており、見る者にほんわかとした印象を与える。白地のストッキングには細い赤線が10本も走っているが、これは甲子園出場回数を表しているそうだ。
ユニホームは野球人にとって、大事なアイデンティティ。ユニホームで対戦相手を驚かせることができれば、プレーボールのコールがかかる前から心理的優位に立てる。
唯一無二のデザインは、プレーする選手たちに確かなプライドを植えつける。今夏の青藍泰斗が真っ青なユニホームを着て、どんな戦いを見せるのか。聖地に鮮やかな青は、よく映えそうだ。
文/菊地高弘